<J1:C大阪2-1湘南>◇第7節◇18日◇長居

 最後まで、あきらめない!

 C大阪FW香川真司(21)が劇的決勝弾で、代表復帰へ猛アピールした。前半35分にPKを決めて先制。後半ロスタイムに追い付かれたが、終了間際に右足で勝ち越しゴールを奪い、勝利に導いた。今季2度目の1試合2得点で通算5得点。G大阪FW平井とともに得点ランキングトップに立った。W杯まで残り2カ月を切り、代表滑り込みへの「ラストスパート」をかける。

 まさに「エース」の働きだった。5分あったロスタイム。湘南に追い付かれて4分がたっていた。左サイドでボールを受けた香川が、猛然と中央へ切れ込む。振り抜いた右足とともに、ボールはゴール左に突き刺さった。劇的な決勝弾。香川は右手を何度も突き上げた。「今まで生きてきた中で一番最高の気分です!」。競泳岩崎恭子ばりのメッセージで、桜色に染まったスタンドを盛り上げた。

 前半35分にはPKを決めて先制した。3日の京都戦に続く1試合2得点。昨季J2得点王が、得点ランク首位に立った。「5点取ってますけど2試合で4点なんで。取れなかった試合が多いですから」。5得点で並ぶG大阪の平井は1学年上。2年前に世代別代表で知り合った親友が今季ブレークすると「チャンスやん」と喜び、左太ももを負傷すると心配した。ライバルと競い合いながら「若い選手が盛り上げないといけないですから」と頼もしい。

 日の丸を背負ったのは、2月14日韓国戦が最後だ。途中出場しながら精彩を欠き、屈辱の途中交代を命じられた。悔しさのあまり、ふさぎ込む日々…。そんな時、神戸FW大久保に「そんなん挫折でも何でもないわ。若いんやから」と言われて目が覚めた。「まずはJリーグでやっていくことが大事」。当落線上にいる代表復帰には、アピールしていくしかない。

 チームは10日の横浜戦、14日ナビスコ杯新潟戦と、2試合連続で無得点だった。この日は21歳乾、23歳家長とともに前線で動き回り、同じ昇格組の湘南を圧倒。沈滞ムードを吹き飛ばし「やってて楽しかった。この気持ちを自分の中で大事にしたい」と声を弾ませた。W杯まで残り2カ月。香川が、ラストスパートをかけていく。【近間康隆】