<J1:東京2-1清水>◇第28節◇30日◇アウスタ

 東京FW平山相太(25)がチームに3戦ぶりの勝利をもたらした。前半32分、CKから今季リーグ戦4点目となるゴールをヘディングで押し込み先制。後半20分にはFW大黒将志(30)の追加点をおぜん立てするクロスを供給し、アウェーで清水を2-1で破る原動力となった。チームは勝ち点を28とし、この日、台風14号の影響で試合が中止となった同勝ち点の大宮を得失点差で上回り、暫定14位に浮上。キーマン平山の調子が上がってくれば、残留争いから抜け出せそうだ。

 激しい風雨の中、身長190センチの平山が、輝きを見せた。前半32分、石川のCKに相手DF岩下と競り合いながら、ヘディングで押し込み待望の先制弾を決めた。後半20分には左サイドフリーのポジションで梶山のパスを呼び込むと、ダイレクトでグラウンダーのクロスを中央に送り、大黒の追加点につなげた。3戦ぶり勝利に貢献し、「勝ち方を覚える意味でもよかった」と振り返った。

 大熊監督就任後、攻撃の軸とされたのが平山だった。同監督から「平山はごちゃごちゃ持ちすぎると良さが出ない。もっとゴール前でプレーさせたい」と、全体練習後に、クロスからヘディングで合わせる練習を課され、黙々とトレーニングを積んだ。16日の仙台戦では今季初のヘディングでの得点を決め、この日が「頭」では2点目。「成果は出てます」と持ち味の高さを生かしたプレーが復活してきた。

 ヘディングだけでなく、前線でのボールキープで、攻撃のタメをつくった。約50メートルのドリブル突破からミドルシュートを放つなど見せ場もつくった。守っても、相手FKの際の自陣ゴール前で、ヘディング要員としても貢献した。左前十字靱帯(じんたい)損傷からの復帰戦となった親友の米本の存在も大きかった。W杯南アフリカ大会のメンバーから落選した時には、ともに寮で過ごし、頻繁に食事に行くほど仲がいい。「ヨネは2日前から緊張していたんで、頭をたたいて励ましていた」と、祝砲で復帰に花を添えた。

 J1残留争いの渦中におけるアウェーでの貴重な勝ち点3。残り6戦で上位陣との対戦も控える。まだまだ楽観はできない状況だけに、平山は「(得点を)決める前にもチャンスがあったし。ドリブルシュートも浮かしてしまった。しっかり決められるようにしないと」と反省も忘れなかった。【塩谷正人】