<高校サッカー北海道大会:旭川実3-2室蘭大谷>◇23日◇決勝◇札幌厚別

 旭川実が「道内最強」の称号を手にした。昨年覇者・室蘭大谷を破り、2年ぶり3度目の優勝を飾った。後半38分にDF大友一就(いっせい=3年)が決勝ゴールを決め、連覇を阻んだ。全国を意識した練習を重ね、考えるサッカーを徹底。高校総体、プリンスリーグに続く初の道内高校3冠を達成した。全員サッカーで全国選手権(12月30日開幕、東京・国立競技場ほか)に挑む。

 旭川実のMF石山卓哉主将(3年)が、優勝トロフィーを高々とスタンドに向かって掲げた。それに続いて選手も万歳を繰り返した。過去31度の優勝を誇る室蘭大谷の連覇を阻止、道内3大会を完全制覇して敵なしを証明した。石山は「3冠が目標だったので、達成できてうれしい」と笑みを浮かべた。

 前半は降雨でぬかるむピッチ上で一進一退の攻防。後半9分に先制点を許したが、1分後に同点とした。一時は逆転したが、同30分には再び同点に。試合終了間際の同38分、左サイドのFKに大友が頭で合わせ決勝点を奪った。富居徹雄監督(39)は「どうやったら勝てるかを考えさせてプレーさせた。つないで相手を崩すプレーを貫いた」と勝因を語った。

 試合中は相手の戦略を選手同士で分析。セカンドボールを拾うため、ボランチの位置を横から縦に変更した。自分たちで状況判断した。その結果、敵陣でのプレーが増え、決勝点につながったFKを得るファウルにもつながった。富居監督は「我慢するところ、攻めるところの切り替えができていた」と話した。

 全国を見据えた強化が実った。初出場の00年は初戦敗退。「大きな差は感じなかったけど、最後に決められてしまう」。パスをつないで相手を崩しながら、失点を抑えるサッカーを徹底してきた。「人を集めるよりも、環境を整えて指導術を学んだ」と言う。室内練習場を整備し、スタッフをそろえ、実戦向けの練習を繰り返しながらゴールに向かう姿勢を高めた。

 今年4月からは富居監督がアドバイザーとなり、小学生を対象としたサッカーチーム「エスピーダ旭川」を創設。選手も子どもたちを指導する。決勝点の大友は「基本や考えることの大切さを学んだ」と、サッカーについて考えるきっかけにもなった。8月の全国高校総体は初戦で敗れた。石山は「気持ちをしっかり持って、自分たちのサッカーをしたい」と全国での雪辱を誓った。【石井克】