東アジア杯(20日開幕、韓国)に臨む日本代表メンバーはリーグ戦に備えて16日、各クラブで調整した。ロンドン五輪代表メンバーから落選し、今回A代表に再選出された鹿島FW大迫勇也(23)は、“因縁の相手”との対決に燃える。

 この日の大迫は、リーグ戦に備え入念に汗を流した。ミニゲームがメーンの練習後、ゴールをイメージするように、PKを蹴り続けた。この試合にかける意気込みが周囲に伝わるような緊迫感を漂わせた。

 今日17日、ホームに磐田を迎える。関塚監督は昨年、ロンドン五輪代表を4強に導き、同時に大会直前のメンバー選考では、代表入りが有力視された大迫を、土壇場で落とした張本人。

 ロンドン五輪最終予選で、大迫は6試合中4試合に先発(1得点)し、五輪出場権獲得に大きく貢献した。だが、選ばれたのはC大阪FW杉本。直後の会見で大迫は「とても話す気になれない。五輪のことはもう忘れました」とショックを隠しきれなかった。

 1年以上が過ぎた今も、複雑な感情は消えない。昨年4月の代表候補合宿で顔を合わせ、同じく代表入りした磐田MF山田に関する話題にはリラックスした様子で応じたが、関塚監督の名前を聞くと表情は一変した。苦笑を浮かべ「あの時のことを見返したいとか、そういう気持ちはないけどね」と、必死に言葉を選びながらつなげた。

 五輪後には、試合会場で顔を合わせる機会はあった。あいさつはする。だが、互いにそれ以上の言葉は交わさない。関塚ジャパンで主将だったDF山村は「関さん(関塚監督)は選手のことを非常によく見てくれている。普段でも優しくて話しやすい人」と評するが、2人のこの距離感はこの山村の印象とは真逆。2人の間にある見えない壁、わだかまりを感じさせる。

 大迫は「逆に向こうから(ロンドン五輪で落選したことを)どうこう言われても、こっちも困るからね」と、落選にまつわる心の揺れには、今も触れられたくない本音をにじませた。「1年間で成長をみせられる部分もあると思う」。五輪の屈辱を経て、晴れて代表入り。強くなったその姿を目の前でまざまざと見せつける。【湯浅知彦】