チームの和で札幌をよみがえらせる-。J2札幌に新加入する元日本代表MF小野伸二(34)が8日、札幌入りした。新千歳空港到着時には、200人のファンに出迎えられた。チームは前日7日の讃岐戦に敗れ、16位と低迷。早速、小野流改革プランとして「早く自分がチームにとけ込み、みんなで勝ち点3を取るために考えたい」と、チーム全員の絆の大切さを挙げた。今日9日、札幌市内で入団会見を行う。

 大きな使命を背負い北海道に降り立った。新千歳空港に到着した小野は、遠くを見つめながら、ゆっくりとした歩調で、到着口を出た。「やっと始まるんだな、という気持ちです」。赤黒のユニホームを着た女の子に写真を求められたときに、少しほほえんだだけ。報道陣の質問には、ほとんど表情を変えることなく、淡々と前を向いて答えた。

 状況は甘くない。前日7日、J初参戦の讃岐に、17試合目で初めて無失点での勝利を献上した。屈辱的な敗戦をチェックし、自分が今、何ができるか考えた。「勝てていないことで見ているお客さんやサポーターを不安にさせている。勝ち点3を取ることが解決策。それを取るためにどうしたらいいか、みんなで考えたい」。どんなに高い技術をもってしても、難題は1人では解決できない。まずはチームの中に入り、じかに感じたことを伝え「みんな」で同じ方向へ進むことを強調した。

 チームをまとめるための前段階として、まず自分を知ってもらう必要がある。10日の練習合流からデビュー可能な7月20日の大分戦まで1カ月半の時間があり「早くとけ込んで、チームの一員として認められるようになりたい」と、融合期間にあてる。オランダ、ドイツ、オーストラリアでも、まずは、それが最初の作業だった。「新しいチームメートとサッカーができる。その1つ1つが勉強」。ピッチ内外でコミュニケーションを図り、仲間の特長を把握し、天才的なパスを生かす方法を探っていく。

 前所属のオーストラリア・ウエスタンシドニーではACL初出場で、初の8強進出に貢献した。今度は南半球から北の大地に活躍の場を移す。今日9日のさっぽろテレビ塔前での入団会見を前に「多くの北海道の人がサッカーに興味を持ってもらえるようなことをやっていきたい」と抱負を述べた。既に札幌市内に新居も決めた。2度目のJ復帰は、札幌のJ1昇格と、北海道サッカー界のために体を張っていく。【永野高輔】