J2札幌が、J1昇格なら来季のトップチーム人件費を7億円台まで上げることを検討していることが9月30日、分かった。29日のJ1ライセンス交付を受け、クラブは15年構想の立案に着手。来季昇格の場合は同人件費を、今季の4・3億円に約3億円上積みさせ、戦力強化を図る方針だ。チームもプレーオフ圏へ勝ち点3差と迫っており、再昇格へ向け、着々と準備を整えていく。

 好調なチームを、フロントが迅速な準備でサポートする。札幌は29日に、懸案だった15年度クラブライセンス取得が完了。クラブは、昇格への第1条件をクリアしたことにより、来季J1ならトップチーム人件費を今季の4・3億円から約3億円アップさせる方向で検討を開始した。クラブ幹部は「J1なら、それぐらい(3億円)は確保できるようにしたい」と話した。

 2年前の反省を生かす。前回J1の12年は、前年度が約8000万円の債務超過状態にあったため、MFダニルソンの移籍金などの収入も、債務超過解消資金に用いられ、チーム強化に十分投入できなかった。同人件費4・5億円でJ1に臨み、残り7試合を残し、当時の最速降格記録を更新するという悲惨な結末だった。今季は、まず債務超過解消のメドが立った。昇格した場合は、収益を優先的にトップチーム人件費に注ぎ込み、強化費7億円台に上げる。

 昨季15位で、ぎりぎりJ1残留した甲府のチーム人件費が7億700万円。公表されている13年のJ1チーム人件費の平均が約14億円で、それと比較すると決して潤沢な資金ではないが、まずは最低限の力を蓄える。資金集めには大手スポンサーへの働きかけと同時に、ホーム残り4試合の観客動員数を上げることが重要。野々村芳和社長(42)は「債務超過解消の方向性はできたが、まだ必要なことがある。残り4試合に、多くのサポーターが来てくれることが、来季への力になる」と呼びかけた。

 自動昇格圏の2位松本とは、残り8試合で勝ち点16差と現実的に厳しい差があり、クラブは、プレーオフをホーム開催できる4位をベストな着地点としている。だが、現在4位の北九州(勝ち点8差)はJ1ライセンスがなく、プレーオフに出場できないため、現状の順位なら5位でも開催できる。チームは2連勝で5位岡山と勝ち点5差に迫った。勝ち続けて注目度抜群のプレーオフ開催圏に入り、臨時収入による強化費増も視野に入れる。

 ◆札幌の過去のトップチーム人件費

 過去最高はJFL時代の97年で9・6億円。J1(98年Jリーグ含む)では98年8・4億、01年7・8億、02年8・5億、08年7・2億、12年4・5億円。J1(98年Jリーグ含む)平均は7・3億円。J2最高は1年での復帰を掲げ、元ブラジル代表MFホベルッチらを補強した03年の7・4億円。最低は13年の3・1億円。J2(96、97年のJFL含む)での平均は5億円。