ドルトムントからマッツ・フンメルス、ベンフィカからレナト・サンチェスの2選手を獲得したBミュンヘン。ジョゼップ・グアルディオラ監督の後を継ぎ、この夏同クラブに就任するカルロ・アンチェロッティ新監督は5月末、「補強はこれでもう終了だ」と発言していた。

 しかしその一方で、セバスティアン・ローデはドルトムントへの移籍がすでに決定しており、また大衆紙「ビルト」によれば、今後メディ・ベナティア、ピエール・エミール・ホイベルク、マリオ・ゲッツェの3選手が移籍する見通しだという。これが実現すれば、単純計算でBミュンヘンは昨シーズンよりも選手が2人少ないまま、来シーズンを迎えることになる。

 これについて、懐疑的な目を向けているのはBミュンヘンのフランツ・ベッケンバウアー名誉会長だ。同氏は「ローデを売り、さらにベナティア、ホイベルク、ゲッツェを放出するのであれば、選手層は薄くなってしまう。これは、チームにとって危なくないとは決して言えない」と、同紙に対してコメントしており、前人未到のブンデスリーガ5連覇、そして4季ぶりの欧州CL制覇のためには、さらなる補強が必要だと考えているようだ。

 特に今年、Bミュンヘン所属選手は慌ただしい夏を過ごしている。移籍が噂されるゲッツェをはじめ、マヌエル・ノイアー、トーマス・ミュラー、ヨシュア・キミッヒ、ジェローム・ボアテング、フンメルス、ダビド・アラバ、ロベルト・レバンドフスキ、チアゴ・アルカンタラ、サンチェス、キングスレイ・コマンなど、計11選手が欧州選手権に出場。さらにアルトゥーロ・ビダル、そしてドゥグラス・コスタはコパ・アメリカに参戦し、さらに後者はリオ五輪のブラジル代表にOA枠で参加することが決定している。つまり、遅かれ早かれ計13選手のチーム合流が遅れる見通しなのだ。

 とはいえ、Bミュンヘンがブンデスリーガで他を寄せつけない圧倒的な選手層を保持しているのは確実であり、ベッケンバウアー名誉会長の進言は、やや過剰なものに思えなくもない。だが、同氏が貫くこの勝利への抜かりない姿勢こそ、Bミュンヘンがドイツ最強クラブであり続けるゆえんなのかもしれない。