【ミラノ(イタリア)6日=波平千種通信員】ACミランの日本代表FW本田圭佑(29)の歯に衣(きぬ)着せぬ発言が、イタリア国内でも反響を呼んでいる。クラブを取り巻くすべての状況に対しての批判ともとれる強烈な発言を6日付同国主要スポーツ紙がそろって報じた。最大手のガゼッタ・デロ・スポルトは冷静で、本田にも一理あるといった論調。同紙電子版には賛否両論渦巻く読者からのコメントが寄せられている。

 本田が日本代表に合流し留守にしているイタリアでかなりの反応があった。クラブの惨状に、覚悟を決めて7分間も日本の報道陣に話したのが、出場しなかった4日ナポリ戦後。2日たち日本を経由したと思われるコメントが再上陸。今後の立場を危うくする可能性もある批判的発言は意外にも“炎上”することなく、丁寧に取り扱われた。

 ミラン報道では常に先頭を走るガゼッタ・デロ・スポルトはコメントをほぼ正確に引用した記事中で「普段冷静で思慮深い人物の口からこれらのことを聞くのはインパクトがある」と書き「ミランはこれをどのように受け止めるのだろうか」と結んだ。批判したというより問題提起したと書いた。単純に「批判」とした日刊スポーツなど日本のメディアより本質を突いてきた。どこよりも本田のプレーを徹底して酷評し続けているだけに意外だった。

 同紙は電子版トップページにも記事を掲載。これに対する読者のイタリア語での書き込みが賛否両論で、何ともリアルだった。

 「本田の分析は正確で正直なもの。唯一足りないのは自己批判だ」

 「選手として大したことはないが、クラブ幹部のようなはっきりした意見を持っている」

 「ミランが(本田の指摘通り)パリサンジェルマンやマンチェスターCのように投資すれば、お前の居場所は練習試合の線審だ」

 「やっと勇気を持って真実を語る者が出てきた。俺はインテリスタ(ライバル・インテルミラノのファン)だがインテルも同じだ」

 「ハラキリしたな」

 「これでもうピッチで彼を見ることはないだろう」

 ミハイロビッチ監督を批判するようなコメントも掲載されたことで今後の処遇も含め目が離せなくなった。ただ、7分間の激白は“無視”されることなくカルチョの本場でもひとつの動きを起こしつつある。海外で、試合でプレーせずして、ゴシップ以外でここまで報じられた選手も珍しい。

<本田の主なコメント>

 「この敗戦から何かを学ばないと、いつまでたっても(チーム)再建というのはほど遠い」

 「(このままでは)ある程度誰がやっても無理だというのはもう分かったと思う。(マンチェスター)シティーやパリサンジェルマンくらい(強化に)お金を使うか、そうでないのであればやはりもう少しストラクチャー(組織)の部分から見直していかないといけない」

 「選手が気付いていてもこのチームは変わらない。やはりトップの人間、経営陣が気付く、そして監督が気付く、選手たちが気付く。と同時にファンたちも気付いていかないと」

 (ミハイロビッチ監督が選手の精神面を問題視していると問われ)「それはどういうことなんですかね。選手に責任があるという話をしている時点で、ナンセンスだと思う」

 「イタリアのメディアに伝えておいてください、僕の話したことを。またさんざんっぱら僕のことたたくんでしょうけど」