【ヘント(ベルギー)12日=エリーヌ・スウェーブルス通信員】ベルギー1部リーグの最終節をヘントFW久保裕也(23)が衝撃的なゴールで締めくくった。メヘレン戦の前半終了間際に「4人抜きドリブルシュート」でチームの2点目を決めた。3戦連発、1月の加入後7戦5得点とし、チームは3-0で勝利。前節の7位から4位に浮上し、優勝を争う上位プレーオフ進出の立役者となった。好調を維持し、16日に発表されるW杯アジア最終予選(23、28日)の日本代表入りをより確実にした。

 久保はセンターサークル付近で横パスを受けると、一気に加速した。相手2人に挟まれながらスピードで抜き去った。さらに2人が加わり、ペナルティーエリア手前では4人に付かれた。その包囲も細かいボールタッチとフェイントで揺さぶってかわし、GKが前に出た瞬間、右足でゴール右隅に流し込んだ。

 ホームスタジアムは歓声が爆発、久保は勢いのままスタンド前へ駆けだし、ファンやチームメートと喜びを分かち合った。「いい形で前を向けたので仕掛けようと思って。ぱっとひらめいた。感覚でできたのが良かった。考えずに、体が勝手に動いた」。本能的な動きだったと振り返った。ファンからは「マジック」「ワールドクラスゴール」「久保はメッシのよう」などのツイッターがあふれた。

 上位プレーオフに進むのは6位まで。「勝ち点3が絶対に必要。前に前に行くしかない、という気持ちだった」。加入後、すぐに7戦5得点でチームを引っ張り「最低限の仕事はしたかな」と胸を張った。

 日本代表入りにも弾みがついた。「楽しみにしています。期待してます。(このゴールを)見てもらったら、ありがたい」と意欲を隠さない。欧州リーグは前所属のヤングボーイズ(スイス)で出場したため、ヘントでは登録できず、日程的にもW杯予選まで出場できる試合はない。「(代表に)選ばれると思って、しっかり準備したい」。

 昨年11月のサウジアラビア戦は右ひざを負傷し途中交代した。その無念を晴らしたい。何より、着実に試合に出て結果を出した試合勘の充実が、日本には心強い。

 ◆久保裕也(くぼ・ゆうや)1993年(平5)12月24日、山口市生まれ。山口・鴻南中から京都ユース入り。立命館宇治高2年の10年に2種登録され11年にJ2初出場初得点。13年6月に京都からスイス1部ヤングボーイズに移籍。今年1月にヘントに移籍した。昨夏のリオ五輪はメンバー入りもクラブの招集拒否で出場できなかった。178センチ、72キロ。