<アジア大会:競泳>◇第3日◇21日◇韓国・仁川

 競泳男子200メートルバタフライで、瀬戸大也(20=JSS毛呂山)が今季世界ランク1位となる1分54秒08で金メダルを獲得した。個人メドレーが主戦場だが、今季から同種目でもタイムを伸ばし、自己ベストを更新した。個人メドレーとともに、2年後のリオデジャネイロ五輪で金メダルを狙うため、確実にステップを踏んだ。男子100メートル背泳ぎでは入江陵介(24)が萩野公介を抑えて金メダルに輝いた。

 両腕を懸命に振った。五輪中間年のアジア大会。瀬戸は金メダルはもちろん、記録にこだわった。水を切り裂くようなダイナミックな泳ぎ。目標の53秒台には届かなかったが、今季世界ランク1位の1分54秒08のタイムに「前半から積極的にいけた。53秒台は来年への課題です」と笑顔で話した。

 妹のためにも金メダル&記録を狙った。チアリーディングをする妹美琴さん(15)が来年1月、米フロリダ州ディズニーワールドで行われる世界大会に出場する。美琴さんは小学2年から水泳とチアを両立してきたが、2年前からチアに専念。昨年の全日本選手権で優勝するなど、世界と戦う兄を刺激に自らも世界を目指している。

 瀬戸には2年前の悔いがある。12年ロンドン五輪。出場が決まれば、美琴さんは壮行会でチアダンスを披露する予定だった。だが、選考会直前のインフルエンザで体調を崩し、五輪切符を逃した。もう悲しい思いはさせない。世界に飛び出す妹へ「強い兄」であり続ける気持ちは強い。

 初のアジア大会で幸先のいいスタートを決めた。24日には昨年世界選手権で制した男子400メートル個人メドレーが控える。同学年の萩野とのマッチレースが予想される。男子200メートル自由形で2人の五輪金メダリストを破ったライバルを見て「今までで一番、鳥肌が立った。パワーをもらった」と刺激にする。昨年の世界王者としてはもちろん、背中を追う妹のためにも2冠は譲れない。【田口潤】