バドミントンの会場で2方向の風が吹く原因が、開け放たれた2カ所の扉にあることが24日、分かった。長方形の会場には5面のコートが並び、コートに対して縦方向に設置された空調設備から風が吹く。さらに横方向にも風が発生して、2方向の風に選手が困惑している。

 日本代表の中島慶コーチ(52)は「横風は風の通り道になる扉を開けっ放しにしているから」と説明。約5グラムのシャトルは風の影響を受けやすいため、通常の大会では扉を閉めて空気の流れを極力少なくする。だが今大会は競技開始5日目でも開けたままの状態だ。

 中島コーチは「どうして開けているのか。理解できない。中国なども扉を閉めてくれと運営側に言っている。私も言った。でも閉めてくれない。縦の風はいいが、選手がプレーしやすいように横の風は止めるべきだ」と訴えた。一般的な会場であまりない横風が吹けば、2方向の風による不確定要素が増える。舛田圭太コーチ(35)は「番狂わせが起こりやすくなる」。

 この日は山口茜(17=福井・勝山高)が女子シングルスに登場。初戦に2-0で勝ち「縦の風と横の風がありました」。メーンスタンドからバックスタンドに縦の風が、メーンスタンドを背にして左から右に横風が吹いたという。「プレー中に感じるほどの横風は経験ないです」。女子ダブルス2回戦では優勝候補の中国ペアが敗退。第1シードの高橋礼、松友組もインドネシアペアに苦戦した。

 男子が5月に団体世界一となり、女子も世界選手権でメダルを獲得した日本は、番狂わせを起こさせないよう風への対応が必要になる。

 ◆バドミントンの風問題

 21日の男子団体で日本は地元韓国と対戦。第1試合でエース田児が格下選手と対戦し、第1ゲームを取ったが、第2ゲームで不利な向かい風を受けた。そのゲームを落とすとコートチェンジした第3ゲームも向かい風を受けて逆転負け。舛田コーチは「第2ゲームから風が強くなった。他国の選手も言っていた」。風の方向も変わったことから空調設備によって意図的に風を操作した可能性があるとして、舛田コーチは翌22日にJOCに状況を報告。大会組織委員会に対しては「抗議のような行動を起こすつもりはない」との意思を示している。