のんびりしたイメージのある競歩だが、実際に会場で見てみるとかなりのスピードで走って(歩いて)いることがわかる。今大会でも、酷暑の影響もありゴール後に担架で運ばれる選手や、医師にかつがれる選手が続出した。激しい競技なのだ。

 その競歩で難しいのは判定による失格があるということ。走ってしまい両足が地面から離れると「ロス・オブ・コンタクト」、前足の膝を曲げてしまうと「ベント・ニー」という反則になる。違反していると判断された場合は注意が、明らかな違反にはレッドカードが提示される。レッドカードが3枚になると競技失格になってしまう。

 「今日メダルを目指さなかったら次はないだろう、というくらい体調がよかった」という女子20キロ競歩の川崎真裕美(富士通)は、先頭集団につけながらもレッドカード3枚で無念の途中失格。「先頭集団では新顔だったので、自分のフォームを審判に厳しく見られたのかも」と悔やんだ。一方、同種目で初の入賞となった渕瀬真寿美(大塚製薬)は、「ラスト100メートルで赤が2枚出ていたので、心配で笑顔でゴールすることができなかった」。ラストスパートで3回目のカードが出て、ゴール後に自分の失格を知ることもある競歩ならではの複雑な心境でのゴールだった。しかし、その渕瀬もラスト1周で前の選手が失格し、繰り上がっての入賞となったのも事実。判定に泣き笑いの日本女子競歩陣。21日にはメダルの期待もかかる男子50キロ競歩が行われる。山崎勇喜(長谷川体育施設)森岡紘一朗(富士通)谷井孝行(佐川急便)の3選手の結果にもこの判定が影響するか、注目だ。