日本歴代2位の10秒01を持つ桐生祥秀(19=東洋大)が、ついに9秒台をマークした。男子100メートルは3・3メートルの追い風参考記録ながら9秒87で優勝。2・0メートルを超える追い風のため未公認となるが、電気計時では日本初の9秒台に突入した。

 未公認ながら9秒台をマークした陸上男子100メートルの桐生祥秀(19=東洋大)は、最大の目標に20年東京五輪の決勝進出を掲げている。32年ロサンゼルス五輪で「暁の超特急」吉岡隆徳以来2人目のファイナリストを狙う。13年世界選手権モスクワ大会では10秒00の選手が準決勝敗退。世界大会決勝には9秒台は必要だ。

 桐生は追い風参考ながら、9秒87でロンドン五輪5位のベイリーに勝った。日本陸連の原田康弘強化委員長は「まさかという感じ。9秒9台でなく一気に9秒8台をマークした。ここまでの記録が出るとは思っていなかった」。苅部俊二短距離部長は「9秒台を体感することが重要。そのスピードで脚を回転できて、すごくプラスになる」。この日の体験で、能力をさらに開花させる可能性がある。

 桐生は今後、今夏の世界選手権北京大会を目指して、4月の織田記念と6月の日本選手権に照準を合わせる。5年後の東京まで、リオ五輪と3つの世界選手権がある。初出場の13年モスクワ大会は予選敗退。桐生は「世界大会で準決勝にいったことがない」が口癖だが、東京五輪を待たずに2人目のファイナリストが生まれる可能性がある。【益田一弘】

 ◆桐生祥秀(きりゅう・よしひで)1995年(平7)12月15日、滋賀県彦根市生まれ。小学校時代はサッカーのGK。彦根南中から陸上を始める。京都・洛南高3年の13年4月に男子100メートルで日本歴代2位の10秒01を記録。昨春から東洋大に進学し同5月に10秒05を記録、同6月の日本選手権で初優勝。同7月の世界ジュニア選手権3位に入り、同種目日本初のメダルを獲得した。175センチ、68キロ。