日本陸連は28日、都内で理事会を開いて、麻場一徳強化委員長の退任とともに、男子100メートル日本記録保持者(10秒00)の伊東浩司副委員長(46=甲南大教授)を繰り上がりで新委員長に就任することを決めた。組織のルール上、任期は17年6月までとなったが、尾県専務理事は「東京五輪に向けた強化体制です。斬新な意見を強化に持ち込んでほしい」と期待した。

 伊東氏は「陸上人として東京五輪にはどのような形でも関わりたいと思っていた。ただ時間はないし、大きな勝算が見込める状況でもない。あらゆる人の意見を聞いていきたい」と所信表明。伊東氏は12年ロンドン五輪後に短距離部長に就任した際に、日本代表リレーチームを設立。リオ五輪男子400メートルリレー銀の礎をつくった。新委員長として「彼ら(リレーメンバー)が『金を狙いたい』という火を消さずにできれば」と強化の継続も口にした。

 この日は神戸市内の甲南大で授業を終えて東京に移動。新幹線の中で、1964年東京五輪当時の書物に目を通す勉強家でもある。「国際大会でしっかりしたレースをできる人を出していく」。今後は11月1日をメドに、新体制を固めていく。【益田一弘】

 ◆伊東浩司(いとう・こうじ)1970年(昭45)1月29日、神戸市生まれ。報徳学園高-東海大-富士通。98年に10秒00の日本記録樹立。五輪は96年アトランタ、00年シドニーと2大会連続出場。日本陸連では12年11月から2年間、短距離部長を、昨年9月からは強化副委員長。