男子100メートル2位の山県は、シーズンを重ねるごとに順調に仕上がっている。桐生と隣り合わせのレースは何度も走っているし、最後まで走りが乱れなかった。4位の桐生も負けレースでの走りがよくなってきた。去年は負ける展開で力が入り、足だけで回転する、上半身が使えないことがあった。その癖がなくなりかけている。12日の上海でのレースもそうだったが、ストライドだけでなく(足の)回転で走ろうとしている。昨季(の9秒98)で自信がついたこともあるだろう。向かい風0・7メートルでこのタイムを出した2人は、9秒台の力が完全についている。

 100メートルのラストで、何げなくケンブリッジがいることも見逃せない。ベストのスタートではなかったが、最後にグッと伸びた。アンカーも力強い走りだった。日本選手権の6月には、2人の間に割り込んでくるだろう。とても楽しみだ。(96年アトランタ、00年シドニー五輪出場)