東京箱根間往復大学駅伝(来年1月2、3日)に向け、9年連続50度目の出場となる神奈川大が16日に横浜市内の同大で会見した。前回5区を走り、3位でたすきを受けながらも12人に抜かれ区間最下位と大失速をした荻野太成(3年)が「前回は楽しめなかったので、今回は楽しむことを忘れずに走りたい」と意気込んだ。

前回の箱根の後は、楽しかった陸上を全く楽しめなくなった。「辞めたいとも思ったし、陸上のことを考えたくなかった。違うことをしている方が気持ち的に楽でした」。チームメートへの申し訳ない気持ちから、寮にいることすらつらかったと言う。「みんなから気にしないでと言われて、半分うれしいけれど、つらくて。複雑な気持ちでした」。

2月に出場した日本選手権クロスカントリーをきっかけに、徐々に前を向けるようになった。「試合で走りたくないと思っていたところから、ぼちぼち走ろうかなと、ようやく前を向いていこうと思えました」。

練習に対する熱意も徐々に回復し、4月の兵庫リレーカーニバルでの3000メートル障害では自己ベストとなる8分42秒を記録。「このあたりから完全に陸上が楽しいと思えました」と振り返ると笑顔も見せた。

以降は上半身の強化に力を入れ、朝練でのジョグの後にはその日の限界まで腕立て伏せを自ら取り組んだ。走っているときの安定にも徐々につながり「まだまだです、若干成果も実感できています」と成長も口にする。

「前回は多くの人に迷惑をかけたぶん、今回の箱根ではそれ以上に返せるように走りたい。走りたいのは1区ですが、どこでも走れるキーマンになりたい」

悔しい経験をバネに、走りでチームメートへの恩返しを誓う。