男子50キロ競歩で日本記録を持つ鈴木雄介(31=富士通)が金メダルを獲得した。4時間4分20秒。日本人でも最上位で、20年東京オリンピック(五輪)の代表に内定した。これで日本は同種目で3大会連続のメダル獲得となった。

日本勢の世界選手権の金メダルは91年谷口浩美(男子マラソン)、93年浅利純子(女子マラソン)、97年鈴木博美(女子マラソン)、11年室伏広治(男子ハンマー投げ)に続く史上5人目の快挙だった。

レース前は前半は自重して後半勝負のプランを掲げていたが、奇襲に出た。宣言とは違い、大逃げ。前半から飛ばして、独歩状態が続いた。気温30度以上の暑さの中で後半も粘った。

苦闘を経た果てのメダルだった。15年3月に20キロ競歩で1時間16分36秒の世界新記録を樹立。その5カ月後の世界選手権では金メダルを期待されたが、結果は11キロ付近で途中棄権。しかも股関節痛を抱え、痛み止めを飲みながらの強行出場だったから、代償も大きかった。そこから長い恥骨の痛みを伴うグロインペイン症候群との闘いを余儀なくされた。2年9カ月もの間、試合に出られなかった。自分が苦しむ間に日本の競歩界が世界選手権、五輪でメダルを獲得したのも無力感を増長させた。どん底から返り咲いた復活劇だった。

実戦復帰後、20キロでは世界選手権の代表を逃すも、事実上の50キロ初挑戦となった4月の日本選手権では従来の日本記録を40秒更新する3時間39分7秒で優勝。過去4度とは違い、50キロで初の世界選手権代表の座を勝ち取った。本当は20キロの方が好きだが、自らの特性、国内外のライバルの力を鑑み、東京五輪で金メダルを獲得するため、それまでは50キロで戦うと心に決めた。

世界選手権のメダルだけでは満足できない。東京五輪で金メダルへの歩みを進めていく。