<陸上:ダイヤモンドリーグ第13戦チューリヒ国際>◇30日◇スイス・チューリヒ男子100メートルはロンドン五輪銀メダルのヨハン・ブレーク(22=ジャマイカ)が9秒76の好タイムで優勝した。タイソン・ゲイ(30=アメリカ)がフライングで失格して隣のレーンが空いたが、ウサイン・ボルト(26=ジャマイカ)がフライング失格した昨年のテグ世界陸上で金メダルを取ったブレークは、今回もまったく動じなかった。スタートからリードを奪うと2位以下をまったく寄せつけない横綱レースを見せた。

 今大会のボルトは200メートルに回って出場していなかったが、アサファ・パウエル(29=ジャマイカ)が2006年にマークした9秒77の大会記録(当時の世界新記録)を、気温14~15度という悪コンディションのなかで上回った。「タイムには驚いていないよ。オリンピックのあとの自分はもっと強く、速くなっているから。悪天候もオレを止められなかったね」

 ブレークの9秒80未満は今季4レース目。ボルトを破った6月のジャマイカ選手権で9秒75の自己新。ロンドン五輪でも同じ9秒75で走って銀メダル。ボルトは出ていなかったが、五輪後のダイヤモンドリーグ・ローザンヌ大会では9秒69の世界歴代2位タイで優勝した。そして今回の9秒76である。今季の9秒80未満の回数は3レースのボルトよりも多い。

 自己記録の9秒69は、北京五輪のときのボルトと並んでいる。ボルトは翌2009年の世界陸上で9秒58に世界記録を伸ばした。ブレークも「来年はもっと強くなるよ」と自身に手応えを感じている。

 ただ、五輪や世界陸上で爆発的に記録を上げるボルトとはタイプが異なる。ダイヤモンドリーグなどで少しずつタイムを縮めていくのではないか。いずれにしてもブレークへの注目度は大きくなる。