<陸上:日本学生対校選手権>◇最終日◇12日◇東京・国立競技場

 男子棒高跳びは学生記録(5メートル62)保持者でロンドン五輪代表の山本聖途(中京大3年)が5メートル40で優勝。5メートル53の大会新はクリアできなかったが、2位に20センチ差と格の違いを見せた。「学生新記録を狙っていましたが跳び急いでしまいました。ポールにもっと巻き付く感じの跳躍になれば良かったのですが、ポールから離れてバーの方に蹴り上げる動きになってしまったんです」。

 ロンドン五輪は予選で5m35が跳べず、痛恨の記録なし。自身のツイッターで「悔しい。やばい…なんでこんなユニフォーム脱ぎたくないんだろう。もう試合終わってんのに」とつぶやいた。選手村の自室に夕方戻り、ユニフォーム姿で深夜2時までベッドで大の字になっていたという。

 今季急成長した山本は海外での試合経験がなかった。オリンピックでは召集所でストレッチ用のリングだけでなく、ペンまで没収されたことに戸惑い、踏み切り位置や中間マークのチェックを頼む知り合いの選手もいなかった。「棒高跳びに必要な英語は勉強して行った」が、付け焼き刃では思うようにいかなかった。「なんとかなると思って臨みましたが、やっぱり国際経験は必要でした。自分では落ち着いているつもりでも、実際はそうじゃなかった」。

 「4年後こそは」の思いで帰国した山本は、ローカル試合ですぐに5メートル50を跳んだ。「オリンピックでメンタル的にやられていたので、インカレに向けて一発跳んでおかないと自信を持って臨めないと思って」

 今大会での学生記録更新はできなかったが、今の学生選手では「技術的にも最も高い」と評価されている力は示した。5メートル70を跳ぶ日も遠くなさそうだが、記録を伸ばすのと同時に海外で結果を残すことも課題となる。「冬期は積極的に海外に出て、経験を積みたいと思っています」

 山本の動向に注目したい。