陸上のダイヤモンドリーグ第3戦のアディダスグランプリが25日、米国ニューヨーク市のアイカーンスタジアムで開催される。

 ロンドン個人種目の金メダリスト8人がエントリー。そのうち男子800メートルのデービッド・ルディシャ(24=ケニア)、女子走り幅跳びブリットニー・リーズ(26=米国)、女子円盤投げのサンドラ・ペルコビッチ(22=クロアチア)の3人が、すでに今季世界最高記録をマークしている。さらなる記録更新が期待できそうだ。

 世界記録の1分40秒91を持つルディシャは10日のダイヤモンドリーグ第1戦ドーハ大会に優勝。ライバルのモハメッド・アマン(19=エチオピア)に、アマンが得意とするラスト勝負を挑んで勝ちきった。タイムは1分43秒87の今季世界最高だったが、ルディシャとすれば物足りない。

 今大会2番目の記録を持つのは五輪銅メダルのティモシー・キトゥム(18=ケニア)だが、ルディシャにとって過去に2度敗れているアマンほどライバル視する相手ではない。ドーハよりも記録を狙いやすい大会といえるだろう。昨年のニューヨーク大会は後半を独走して1分41秒74だった。夏に自身の世界記録を更新するためには、同じレベルで走っておきたい。

 女子棒高跳びはジェニファー・サー(31=米国)の“イシンバエワ超え”が焦点だ。ロンドン五輪ではサーが4メートル75で金メダル。世界記録(5メートル06)保持者のエレーナ・イシンバエワ(30=ロシア)を破ったが、記録が低かった。しかしサーは、今年3月の全米室内選手権で5メートル02を跳び、イシンバエワの室内世界記録を1センチ更新。女子では史上2人目の5メートルジャンパーとなり、屋外でも世界記録を狙える力をつけている。アイカーンスタジアムは風の影響で記録が出にくいが、18日のダイヤモンドリーグ上海大会のイシンバエワの優勝記録、4メートル70を上回っておきたい。

 女子円盤投げのペルコビッチは現在、“最も負けない”投てき選手。昨年はダイヤモンドリーグで7戦して6勝。今季は全勝をするのではないかと期待されている。今大会ではライバル不在。2位に5メートル近い差をつける可能性がある。

 ◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する最高カテゴリーの競技会シリーズ。今季はドーハ大会を皮切りに9月のブリュッセル大会まで全14戦が開催される。各大会の種目別優勝賞金は1万ドル(2位6000ドル~8位1000ドル)。各大会のポイント合計で争われる年間優勝者には4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝。緊張感あるレースが次々に行われる。また、オリンピックや世界陸上のように1国3人という出場人数の制限がない。ジャマイカ、アメリカ勢がそろう短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目などは、オリンピックや世界陸上よりも激しい戦いになる。