<全国都道府県対抗男子駅伝>◇22日◇広島・平和記念公園前発着(7区間=48キロ)

 箱根のヒーローが見事に復活した。首位と26秒差でたすきを受けた兵庫のアンカー竹沢健介(25=エスビー食品)が区間賞の走りで4人を抜き、2年ぶり4度目の優勝へ導いた。早大では4年連続箱根駅伝出場、08年北京五輪にも出た逸材だったが、昨春に右すねを疲労骨折。約1年ぶりの復帰戦で快走し、ロンドン五輪の長距離代表へ狙いを定めた。

 華麗なる復活ランだった。兵庫のアンカー竹沢が力強く安芸路を踏みしめていた。26秒先にいた首位愛知に8キロ手前で追い付くと、1キロ後には独走となった。両手を広げてゴールテープを切り「公のレースは久しぶり。気持ちが入ってました」と声を上ずらせた。昨年12月には友人らと東北の被災地で食料配布。「力を与えると言うのもおかしいけど、テレビで頑張ってるのを見てくれれば」と喜んだ。

 早大4年だった08年北京五輪に長距離(5000、1万メートル)代表で出場した。しかし、そのころから故障に悩まされ、昨春には右すねを疲労骨折。本格的に走り始めたのは年が明けてからだ。「4年に1度の大舞台なので意識してやっている。4年前は完全に舞い上がっていた。いいステップにできれば」と端正な顔を引き締めた。五輪イヤーに戻ってきた「箱根のケンスケ」。失いかけた輝きを再び取り戻した。【近間康隆】