ライバル陣営からV指令!?

 ロンドン五輪選考レースの大阪国際女子マラソンが今日29日、大阪・長居陸上競技場発着で行われる。優勝候補の福士加代子(29=ワコール)は28日、大阪城周辺で最終調整したが、ライバルを指導する佐倉AC小出義雄代表(72)や天満屋の武冨豊監督(57)からも期待の声が上がった。

 宿敵陣営も脱帽気味だった。ロンドン五輪切符を懸けた決戦前日、福士への期待の声が相次いだ。まずは小出代表。シドニー五輪金メダリスト高橋尚子を育てた名伯楽は「福士がいくよ。福士の力なら2時間18分から22分の間かな」と予想した。日本記録は野口みずきの2時間19分12秒。「新記録」の可能性を示すほど福士に太鼓判を押した。

 レースには、小出代表が指導する堀江知佳(ユニバーサルエンターテインメント)も出る。それでも高校卒業時の福士を熱心に勧誘しただけあって、その実力は高く評価する。「マラソンを本気でやってたら15、16分台はとっくに出てるよ。マラソンは難しいけど、3回目になると慎重になるしね」。

 エールを送るのは1人だけではなかった。重友梨佐や坂本直子を指導する天満屋の武冨監督は、日本陸連の女子マラソン部長でもある。勝負の目安を2時間22分台に置き、やはり福士をV候補最有力に挙げた。「結果を出して五輪への流れを作って欲しい。彼女が出ることで日本選手のレベルが上がる。リーダー格が福士になる」。

 昨年2月、武冨監督は陸連のニュージーランド合宿で福士にほれた。「年齢的にもそうだし、明るいし、現地の地震のあとはみんなに気を使っていた。30キロ走でも実力が違った」。日本陸上界を引っ張る存在として期待する。

 モテモテの主役はこの日、朝と昼の2度、大阪城周辺を走った。「今日は何も話すことないです」と足早に去り、大一番へ向けて集中モード。高速コースの浪速路で一発合格となるか。ロンドンへの号砲は、いよいよだ。【近間康隆】

 ◆高速コース

 03年に野口みずき(当時グローバリー)がマークした2時間21分18秒の大会記録は、今でも日本国内最高記録。フラットな「高速コース」として有名だったが、昨年、20年ぶりにコース変更。上り下りのある大阪城公園内を外し、高低差は23メートルから9メートルになって「超高速コース」と呼ばれる。大阪市内の29日正午以降の予報は、曇り時々晴れで降水確率は20%。最高気温6度、最低1度と肌寒いが、好記録が期待できる。