<陸上:第1回富士山マラソン>◇25日◇参加1万8064人(フル1万2866人、河口湖1周5198人)◇日刊スポーツ新聞社主催

 第1回富士山マラソンが好天の下、開催された。フルマラソン登録男子は上條記男(28=埼玉・八千代工業)が2位に約2分差をつける2時間21分53秒で優勝、初代王者となった。女子フルマラソンは、一般の村松夏子(36=静岡県)が2時間52分54秒で優勝。登録女子Vの古家雅恵(48=滋賀マスターズ)を上回る全部門中の最高タイムをマークし、初代女王の座に就いた。フルマラソンと河口湖1周に約1万8000人が参加、雪を抱いた富士山をバックに力走した。

 171センチ、53キロと細身の上條が、両手を控えめに上げてゴールに飛び込んだ。月桂(げっけい)冠と花束を受け取るとようやく笑みが出た。「この試合に出ている実業団の選手は自分だけ。負けるわけにはいかなかった。なんとか面目が保ててよかった」と話した。実はレース直前に風邪をひいて体調を崩し「それがまたプレッシャーになっていた」という。コースもきつく、無理ができなかった。

 国学院大から愛知製鋼を経て今年4月に現所属に移籍したばかり。これまでの最高タイムは初マラソンとなった07年4月の長野マラソンでマークした2時間13分37秒。「今回はなんとしても2時間20分は切りたかったのですが」。スタート直後は思ったように足が動かず、第2集団につけた。20キロから飛び出したが25キロの急坂では無理をせずに力のロスを防ぐため楽に走った。ここを乗り切ったあとにスピードアップ、後続を一気に引き離した。

 現在の職場は陸上1本に打ち込める環境。毎日25~30キロを走り、走り込みの時期はさらに距離を伸ばす。吉木浩一監督(38)は「楽しみな選手。朗らかな性格で練習はまじめ。次の目標は2時間10分を切ること。もう少し経験を積ませて、来年の世界選手権代表を狙わせます」と話した。

 今後は正月のニューイヤー駅伝と2月の東京マラソンに出場して記録を狙う。「今から30歳にかけてはマラソンランナーとして最も充実した時。日本代表として世界選手権で走りたい」と目を輝かせた。

 ◆上條記男(かみじょう・のりお)1984年(昭59)3月25日、山梨県生まれ。中学時代に駅伝に出場したのがきっかけで長距離を目指す。都留高-国学院大を経て実業団入り。