陸上界の重鎮が現役日本最速の桐生祥秀(17=洛南高3年)に、お墨付きを与えた。日本陸連は1日、都内でフランス陸連とのパートナー協定を締結。調印式に臨んだ国際陸連前事務総長で、フランス陸連のピエール・バイス副会長(66)が「16年のリオ五輪で桐生選手には金メダルを狙っていただきたい」と語った。

 リップサービスも含まれるが、桐生の存在が知られたこと自体が大きい。同副会長が来日した先月29日に織田記念国際が行われ、報道や国際陸連のホームページで桐生の名前を知った。「10秒01で走った桐生選手らにモスクワ(世界陸上)での活躍を期待している」と同副会長。リオ五輪の発言も「金メダルが無理ならメダル、それが無理なら入賞の活躍を期待する」と“下方修正”しながらも、特定の名前を何度も挙げた。

 白人初の100メートル9秒台選手、クリストフ・ルメートル(22)を輩出したフランス陸上界重鎮だけではない。日本陸連の河野洋平会長(76)も「10秒の壁を破ってほしい」と熱弁。6月に名誉会長就任のため、現職を退く前に訪れた千載一遇の好機に「ゴールデングランプリ(5日)で、あれがフロックでないことを見せてほしい」と歴史的瞬間を待ち望む。17歳の高校生が、周囲のヒートアップを加速させる。【渡辺佳彦】