<高校総体:陸上競技>◇6日◇岩手・北上市

 男子走り高跳び決勝で浜松市立(静岡)・平龍彦(3年)が、悲願の初優勝を飾った。序盤から勢いに乗ると、2メートル10をクリアして自己ベストを2センチ更新。記録では2位と並んだが、それまでの跳躍回数で下回り、頂点に立った。

 平が3年間の思いを込めて思いっきり跳んだ。バーの高さは2メートル10。自己ベストを2センチ上回る未知の高さだった。それでも2回目の跳躍で勢いよく左足で踏み切ると、スタンドから大歓声が上がった。続く2メートル13は失敗に終わり、2位の選手と記録で並んだが、そこまで失敗の少なかった平に栄冠が輝いた。「ずっと全国で結果を出せずに苦しかった。やっとです。本当にうれしい」と、両手に持った賞状とトロフィーを空に掲げた。

 1年の全国総体は、腰痛を抱え予選落ちに終わった。昨年臨んだ2度目の夏も恥骨を痛めて10位に終わった。悔しさを胸に、万全の状態で臨んだラストイヤーは手応え十分だった。「予選から調子が良くていけると思った。とにかく勝つことに集中した」。最初の1メートル98こそ3回目の跳躍でクリアしたが、以降は3センチ刻みで上がるバーを軽々と跳び越えた。

 主将を任され精神的にも強くなった。競技中、正面には部員が応援に駆け付けていた。「今までは失敗が続くとびびってしまったけど、みんなの顔を見て自分が引っ張らなきゃと思った」。一回り大きくなった平が、3度目の大舞台で最高の結果を残した。【前田和哉】