＜高校総体：陸上競技＞◇６日◇岩手・北上市

　男子走り高跳び決勝で、東北王者の村岡健也（山形・楯岡３年）は２メートル１０で、惜しくも準優勝に終わった。２メートル１０を３回目にクリア。平龍彦（静岡・浜松市立３年）との一騎打ちになったが、２メートル１３を双方とも跳べず、試技数で優勝を逃した。

　試技数が明暗を分けた。２メートル１０を３回目でクリアした村岡に対し、平は２回目でクリア。村岡にとって、自己ベストを１センチ上回る２メートル１３の“優勝決定戦”では、２回目に跳び終えた後にバーが落ちる無念さも味わった。自身、過去最高の全国２位。だが、村岡は「１位と２位では大きな違いを感じました。２位じゃダメです」と悔しさをにじませた。

　東北大会では、今季高校ランク１位の２メートル１２の大会新で優勝。追われる立場で全国に臨んだ。村岡は「気負いもありました。不利な状況になって気持ちの弱さが出ました」と反省した。だが、後のない２メートル１０の３回目は気力でクリア。「追い詰められた中で、これまでで一番いい跳躍ができました」とポーカーフェースを振り捨て、ガッツポーズで雄たけびを上げた。

　１月の神奈川強化合宿に参加して急成長した。跳躍時に横だった顔の向きを上向きに修正。横方向に流れていた力を縦方向（上）に集中させた。助走も１２歩から１４歩に増やし、スピードを高めた。その後は着実に記録を伸ばし、２メートル１０を突破。だが村岡は「まだ助走が不安定。２メートル１０以上は確実に跳べるようにして、最終的には（２メートル）２０を目指したい」と２メートル１６の県高校記録更新を目標に掲げる。

　２位に甘んじたが、今季高校ランク１位に変わりない。惜敗し、１本の跳躍の大切さと勝負の駆け引きを学んだ村岡は「国体では優勝したい」と雪辱を誓った。【佐々木雄高】