<全国高校総体:陸上>◇7月31日◇山梨中銀スタジアム

 男子棒高跳びで、浜松北(静岡)の植松海理(かいり=2年)が自己ベストを20センチ更新する5メートル10で4位入賞を果たした。4メートル95を3回目で成功。5メートルは2回目でクリアして初めて大台を越えると、兄・倫理(筑波大2年)が高校3年時にマークした5メートル10を跳んだ。目標のメダルには、あと1歩届かなかったが、最終学年となる来年に弾みをつける好成績を残した。

 植松は強気だった。4メートル70、続く4メートル80を1回目で成功させると、自己記録の4メートル90も1回目でクリア。「全部1発目で跳べたことが大きかった」と勢いに乗った。バーの高さが5センチ上がり、連続で失敗するも、土壇場の3回目で成功。派手なガッツポーズを決め、さらに気持ちを高めた。

 バーの高さが5メートルになると、これまで練習でも使用した経験がないという反発力の高い、硬いポールに変更した。握りも高い位置に変えて勝負に出た。より腕の力が必要とされるが「跳び越えることしか考えていなかった」。勝負どころの2回目。西部予選、県大会、東海大会でも達成できなかった大台を乗り越えた。

 この日は兄の倫理がスタンドで観戦していた。背中を追ってきた存在を超えることも目標だった。5メートル05もこの日2度目となる3回目で成功させると、兄が一昨年の全国総体でマークした5メートル10に挑戦。ここまで11本の試技で体力も限界に近づいていたが、驚異の粘りを見せる。三たび3度目のジャンプでクリアして兄に並んだ。結果は4位入賞。試合後は「勝ちたかった」と悔しさをにじませながらも「ベストを出せてうれしい」と達成感の交じった笑みを見せた。

 3位に入った千葉・柏日体の新井拓磨は同じ2年生で、間違いなく来年もライバルになるだろう。植松は「来年は5メートル30を跳んで優勝を目指します。これからは助走のスピードを上げるために下半身をもっと強化しなければいけない」と、はっきり課題を挙げた。好記録にも決して満足しなかった植松。最終学年を迎える1年後の夏を見据えていた。【神谷亮磨】