日本ラグビー協会は8月31日、都内の会見でW杯イングランド大会(18日開幕)に出場する日本代表選手31人を発表した。フランカーのリーチ・マイケル主将(26=東芝)をはじめ、世界最高峰リーグ「スーパーラグビー(SR)」を経験した8選手が入った。史上最強の日本チームが名将エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、55)のもと、日本ラグビーの歴史を変えにいく。チームは今日1日に英国へ出発する。

 会見でチームメート30人を背にジョーンズHCの隣に座ったリーチは「日本のラグビーの歴史を変えられるのは僕たちしかいない」と力強く語った。合宿ではほぼ毎朝6時から3部練習をこなし「4年間の練習量が自信になっている」と闘志をみなぎらせる。

 チームメートはリーチの言葉に重みを感じている。誰よりも努力したからだ。SRで、誰より練習した。毎朝5時に起き、一番乗りでクラブハウスに行った。カギを閉めるのもリーチ。コーチから「あまり早く来るな。寝る時間を増やせ」とウエート禁止を受けたことも。それでも7時には必ず行き、睡眠時間を確保するため夜9時には寝た。

 6月29日、SRから帰国したリーチ主将の言葉に覚悟がにじみ出た。「相手を殺す。そのつもりでタックルしないといけない」。世界最強のニュージーランド(NZ)代表「オールブラックス」の選手がそろうチーフスでレギュラーを勝ち取った男の意識は変わっていた。合流後約2カ月の短期間で、経験をチームに還元した。

 今のリーチには王国のマインドが宿る。「グラウンドでは自分が1番だと思っている」。チーフスの戦友でNZ代表24キャップのサム・ケインにならった。「超強気。相手がだれでも関係なく、ぼこぼこに殺しにいくようだった」。やられる前にやる。リーチにとって、グラウンドは戦場だ。

 リーチはNZ出身。ただ札幌山の手高入学から日本で生活し、日本ラグビーに育てられた。日本国籍も持っている。「ずっと日本にいて、日本のおかげでここまでこれた。恩返しがしたい」。流ちょうな日本語に、24年ぶり勝利への決意を込めた。【岡崎悠利】