神戸製鋼のSO山中亮平(27)が3本のPGと2本のゴールで13点を稼ぎ、開幕戦勝利に貢献した。フッカー木津ら日本代表3人を先発起用したFWは、セットプレーが安定せずキヤノンに大苦戦。前半21分を最後にトライを取れなかったが、W杯の最終登録メンバーから外れた山中が後半に3本のPGを成功させた。南アフリカ出身のクッツェー新ヘッドコーチ(HC)の下、辛くも初勝利を手に入れた。

 神戸製鋼の山中が高々と蹴り上げた楕円(だえん)球は「Hポール」の真上を通過した。前半7分、SHエリスの先制トライで得たゴールキックを、左端からきっちりと決めきった。「開幕スタメンは初めてで、いい緊張感を持てた」。キックの成功は6本中5本。クッツェーHCが「この開幕戦をうまく切り抜けられたことがハッピー」と表現した80分を中心で操った。

 日本代表組が合流して約3週間。前半22分で14点をリードも、キヤノンの猛追にあった。同31分にはゴール前5メートルのラインアウトで、FW陣の息が合わず自滅。ヒヤヒヤな戦いだからこそ、山中の左足が光った。

 W杯直前の宮崎合宿では、ヤマハ発動機のFB五郎丸と同部屋だった。身近だった仲間が成し遂げた大会3勝が「ずっと応援していたけれど、悔しさもあった。次(19年日本大会)はしっかり目指したい。今年はゴールの成功率を意識している」。4年後へ充実の再出発だ。

 山中に引っ張られての辛勝。日本代表勢と周囲の連係は改善の余地あり。トップリーグ初代王者で12季ぶりの制覇を目指す神鋼は、22日のNEC戦へ勝ちながら1つになる。【松本航】