今年の日本のトップ12で争う、2016年ナショナルチーム選考会(3日間の合計得点)で18歳の高校生、河田悠希(広島・佐伯)と武藤弘樹(愛知・東海)がワンツーフィニッシュし、選出条件の5位以内に入った。2年ぶりに出場した53歳の山本博(日体大教)は10位に終わった。

 息の長さの秘けつは「競技を楽しめること」。ふだんからそう話していた山本が、珍しく悔しさをあらわにした。「いやあ、久しぶりに悔しい」。試合終了直後、そのときだけ穏やかな笑顔が真顔になった。出場12人のうち53歳の山本以外は全員10代、20代。3日間の長丁場を、会場近くのマッサージ店に通いながら戦い抜いたが、序盤から出遅れ、スコアの安定感も欠いた。

 1度はあきらめた五輪だった。ところが、今年の世界選手権で男子団体が来年の五輪出場権を確保できなかったため、今選考会で5位以内に入れば来年6月の五輪出場枠獲得大会に出場できる可能性が出てきた。その大会で枠を確保すれば五輪代表に内定する。「これはやってやろうと思ったんですけどね」。降って湧いたようなチャンスに、ふだんより気負ったのかもしれない。

 1位通過した35歳下の高校3年生の河田が、来年から日体大に進学する。日体大教授の山本と一緒に練習することになる。「自分にとってもいい刺激になる。楽しみですね」。一方で「今はまだ悔しいと思える気持ちがある。得点も極めて悪いというほどではない。負けたまま終わりたくない。まずは17年の世界選手権を目指します」と、早々に来年以降も挑戦し続けることを明言した。