男子床運動で世界王者の白井健三(19=日体大)が新技に成功、2年ぶり2度目の優勝を果たした。

 この日成功させたのは伸身のリ・ジョンソン(伸身後方2回宙返り3回ひねり)。両足を抱え込んで行う技を、体を伸ばした状態のまま成功させた。勢いがつきすぎてラインオーバーこそしたものの「攻めの体操ができた。新たな課題が分かったし、1歩前進」と納得の表情で話した。

 来年2月に予定される国際体操連盟(FIG)の技術委員会で認定されれば、技の名に「シライ」が付けられる。すでに床運動では「シライ/ニュエン(後方伸身宙返り4回ひねり)」と「シライ2(前方伸身宙返り3回ひねり)」に名を残すだけに「シライ3」となる可能性もある。

 G難度のリ・ジョンソンの進化形として、H難度に認定されれば床運動では初めて。今大会では、審判長の判断としてH難度で採点された。エースの内村航平は「かかえ込みでも難しいのに、伸身はすごい。これでH難度でなかったら、納得いかないでしょ」と後輩の演技を頼もしげに振り返った。

 「まだ新技を意識し過ぎている。構成の1つとして意識せず、できるようにならないと。これからは、もっとできばえを求めていきたい」と、白井は前向きに言った。さらに「満足せず、攻めていきたい。床運動では、世界を引っ張っていきたい」。来年のリオデジャネイロ五輪に向けて、白井は貪欲に進化を続ける。