女子で唯一代表が決まっていない75キロ級は、63キロ級から2階級上げて臨んだ渡利璃穏(わたり・りお、24=アイシンAW)が制した。「いろいろな方に世話になり、たくさん応援してもらったので、優勝できてうれしい」と涙で話した。

 9月中旬に階級変更を決意してからは、壮絶な増量との戦いだった。1日5食をとり、食事後にはプロテインものんだ。普段63キロしかない体重は、なかなか増えず「吐きそうになりながら食べた。食べることが嫌いになった」。体の動きを落とすことなく体重を増やす難行。支えたのは「五輪に出たい」という気持ちだけだった。

 過去3大会に出場した浜口京子(37)はリオ五輪を断念。「倒さなければいけない相手だった。京子さんが出ないなら、勝たなければいけないと思った」と話す。2回りほど体が大きくなり「服も入らなくて、買い替えた」。鏡の中の自分を見て「女心としてはショックですね」と笑った。それでも「璃穏」にとっての「リオ」は大きかった。「(来年3月の)アジア予選で出場権を取って、五輪を自分のものにしたい」。増量に打ち勝って五輪に前進した渡利は、自信たっぷりに言った。