世界ランキング6位の錦織圭(26=日清食品)が、4大大会に次ぐ規模のマスターズ大会初優勝にあと1勝と迫った。同26位のニック・キリオス(オーストラリア)に6-3、7-5のストレート勝ち。14年マドリードオープン以来、2度目のマスターズ大会の決勝進出を果たした。3日午後1時(日本時間4日午前2時)開始予定の決勝で、世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)に挑む。

 強さは揺らぐことさえなかった。気温30度の蒸し暑さの中で5本のマッチポイントをはね返した2時間29分の激闘から、わずか25時間後。錦織は何事もなかったようにコートに立ち、「ほぼ完璧に近かった。ずっと集中していた」と、20歳の有望株をストレートで退けた。

 さすがに準々決勝の激闘の影響で「(頭は)ぼーっとしていた部分があって、相手より自分との闘いだった」。しかし、筋肉や神経に刻み込まれた反応は自然と体を動かした。疲労はあっても、今季はまだ大きな故障はない。時速220キロは出るキリオスのサーブに反応し、リターンで粉砕した。

 2季ぶりにマスターズ大会の決勝にたどり着いた。初めて決勝に進出した14年マドリードオープンでは、当時世界1位のナダル(スペイン)に6-2、4-2とリードしながら、でん部の痛みが悪化し途中棄権。「人生最高のプレーをしていたのに」と肩を落とした。2年前のこの大会では、準々決勝で4大大会最多優勝を誇るフェデラーを破ったが、その激闘で左足を痛め、準決勝のジョコビッチ戦は試合前に棄権した。

 14年のマスターズ大会初の決勝、この大会のジョコビッチ戦はともに故障に泣いた。しかし、今回は「体は十分に強くなっている」と、準備は万全だ。2度目のマスターズ大会決勝にも「驚きはない」と豪語する。1月の全豪オープンの準々決勝ではストレート負けし「相手が王者でも、もっと何かできた」と悔やんだ。その雪辱を果たす機会が願ってもない大舞台で巡ってきた。