2020年東京五輪招致の不正疑惑で、招致委員会が多額の資金を振り込んだシンガポールのコンサルタント会社に近いとされるセネガル人パパマッサタ・ディアク氏が14日、共同通信の単独会見に応じ、同社を通じた日本からの金銭受け取りを否定した。同社経営者だった男性について北京五輪以来の「友人」と認める一方、同社と招致委の業務契約は知らなかったと主張した。

 セネガルの首都ダカール市内で述べた。疑惑の中心人物とされる同氏が、日本メディアと会見したのは初めて。同氏はアフリカの国際オリンピック委員会(IOC)委員に影響力を持つラミン・ディアク国際陸連前会長の息子。招致委はラミン氏を票集めのキーマンの一人とみていた。

 フランス検察当局によると、日本側から280万シンガポールドル(約2億2200万円)がコンサルタント会社の口座に振り込まれた。英紙ガーディアンは、口座はパパマッサタ氏と関係があると報じていた。

 国際陸連コンサルタントだったパパマッサタ氏は、日本を訪れた際に日本オリンピック委員会(JOC)関係者と会食したが金銭の授受はないと話し「長年スポーツ界にいる。ルールは分かっている」と訴えた。

 東京の招致活動については「大差で勝利した公正なもので(イメージが)汚されるべきではない」と語った。国際陸連は広告代理店電通と契約を結び、多くの日本企業がスポンサーに付いているため「東京を支持するのは確実だった。ロビー活動の必要はなかった」と説明した。

 コンサルタント会社経営者イアン・タン氏とは08年北京五輪で出会い、中国企業のスポンサーの紹介を受けたと証言。「友人であるだけで会社経営とは無関係」とした。

 フランス検察当局の捜査については「隠すことは何もない。調べればよい」と述べた。

 世界反ドーピング機関(WADA)が1月に公表した報告書は、ディアク父子の不正を指摘。パパマッサタ氏は「うそだらけだ」とし、スポーツ界の権力争いが背景にあると反論した。