世界6位の錦織圭(26=日清食品)が、復帰戦をストレートで飾った。同131位で予選勝者のノビコフ(米国)に6-4、7-5でストレート勝ち。4日のウィンブルドン4回戦で途中棄権した左脇腹のケガは回復しているが、負荷のかかる球種を打たないなど、まだ万全ではない様子だった。

 波が激しい復帰戦だった。スタートから一気に4ゲーム連取。サーブの速度を抑え気味にしながらも、リターンやストロークで圧倒した。しかし、今度は続く4ゲームを連失。頼みのストロークで突然、凡ミスを連発した。それでも、実力の差は明らかでストレートで勝ち上がった。

 錦織の場合、練習が不足すると自信が持てず、集中力の持続が難しくなる。加えて、ケガの痛みや不安があると「テニスをしていても面白くない」。思う通りの展開ができなくなり、悪循環に陥る。その嫌な流れが見えたが、何とか乗り切った。

 6月13日に開幕したゲリー・ウエバーOP1回戦で、古傷の左脇腹を痛めた。同27日に始まったウィンブルドンでは「こんなに痛みと闘った大会は初めて」と、苦悶(くもん)しながら自己最高タイの16強入り。しかし4回戦のチリッチとの試合で、痛みが限界に達し途中棄権した。

 帰国後、検査を受け腹斜筋筋膜炎と診断された。「リハビリをできない箇所。安静にするだけ」と、約10日の日本滞在中はラケットを握らず。15日にチャン・コーチのいる米カリフォルニアで練習を再開した。22日に更新した自身のブログでは「まだ少し痛みがある」とコメントしていた。

 今大会から、リオ五輪、米シンシナティのマスターズと3大会連続で大舞台が続く。8月29日からは今季4大大会最終戦全米が幕を開ける。試合を続けながら、痛めた左脇腹とどのようにつきあっていくのか。ピークをどこに持っていくのか非常に難しい選択だ。