【シカゴ(米国)20日(日本時間21日)=高場泉穂】18年平昌五輪への「青写真」が見えてきた。グランプリ(GP)シリーズ第1戦スケートアメリカ(21日開幕)の公式練習後、浅田真央(26=中京大)が「重要」と位置づける12月の全日本選手権(大阪)で、今大会は回避するトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を解禁する意向を示した。集大成の五輪に向け、今季のGPシリーズでは無理せず足場を固めていく。

 GP初戦を翌日に控え、浅田はまだ気持ちのスイッチが入っていないようだった。練習でフリー「リチュアル・ダンス」の曲をかけて滑ったが、ジャンプはすべて跳ばずに通した。その後、3回転ルッツやフリップを試したが何度も失敗。練習後には「昨季からずっと膝にトラブルがあるので調子を見ながらやっている」と明かし「(GP)ファイナルに行ければいいかもしれないが、ハードルは高い」と弱音も漏らした。

 だが、今後について聞かれると、不安を吹き飛ばすかのように力強い言葉が飛び出した。今季初戦のフィンランディア杯に続き、今大会でも回避するトリプルアクセルについて「全日本ではやると思います」と、12月末に解禁する意向を明かした。「今は自分の最高レベルではないが、アクセルを入れれば最高になる。(全日本は)重要になってくるので」と勝負への意気込みをみせた。

 五輪のプレシーズンである今季の全日本は特別な意味を持つ。そこで上位に食い込めば、平昌五輪の会場の鏡浦アイスホールで行われる4大陸選手権(17年2月14日開幕)、さらに五輪の日本の出場枠を決めるフィンランドでの世界選手権(同3月29日開幕)の切符を手にできる。国内の激しい争いを制すること、本番のリンクの経験すること、五輪の枠取りに貢献すること、すべてが3度目の五輪へとつながる。

 この日は「選手生活はあと2年しかない」と来季限りの引退をあらためて示唆。「カウントダウン。(今季は)昨季以上にどんどんやる気が出てくると思うし、全力を出してやっていきたい。来季もさらに加速していけたら」と、徐々に調子を上げる計画だ。今日21日のショートプログラム(SP)では、スピン、ステップで最高レベルと認定してもらうことが目標。1年半後の五輪での「自分の出来る最高の演技」のため、焦らず1つずつ課題をクリアしていく。