フリー154・87点の合計233・34点で優勝した日野龍樹(りゅうじゅ、21=中京大)がスタンディングオベーションを制止した。

 羽生結弦と同い年で、11、12年の全日本ジュニア選手権覇者の復活に、場内は大盛り上がり。だが、自分の中で大満足とはいかず「パンク(ジャンプが分解してしまうこと)が嫌い。スタンディングオベーションをやめてほしいと思い、座ってもらいました」としぐさでスタンドに伝えた。

 冒頭の4回転トーループで転倒。ループが2回転になる「パンク」もあったが、トリプルアクセル(3回転半)と3回転トーループの連続ジャンプをきっちりと決めるなど、2位の川原星(20=福岡大)に合計点で約40点の差をつける圧勝だった。「今日に出来にはびっくりして、予想していた点数よりはるかに良かった。うれしいというよりびっくりした」。舞台裏に移動したロシア人の父、日本人の母を持つイケメンは、少し表情を崩してはにかんだ。

 現在は中京大スケート部の主将。背中で引っ張る使命もあるだけに、自らに課すレベルも高い。「模範にならないといけない。今回は格の違いを見せつけるのが目標だった。練習、(直前練習の)6分間、本番と充実していた、いい大会。ちょっと良かった余韻に浸りつつ、課題はたくさんあるので、それが次の試合で収穫に変わるようにしたい」。12月の全日本選手権(大阪)に向け、大きな2日間となった。