静岡県バスケットボール協会の川村修会長(シャンソン化粧品社長)らが、同協会をめぐる「不明朗な資金」に関しての記者会見を19日に静岡市内で開くことが17日、分かった。資金が「不正に」できるまでの流れと、一部役員が関与した証拠を開示するという。

 川村会長は9月9日、協会の資金約5000万円について「一部の役員が公金(補助金)を返還せずに築いた」などとして、県や静岡市に返還する方針を表明した。問題にしたのは、同協会の2015年度決算書で示された「ABC基金」約5000万円。会長側は「95年、99年に静岡市で開かれた女子アジアバスケットボール選手権の補助金などが原資」と主張。杉山明宏副会長(シャンソン化粧品取締役)は「2大会とも県、静岡市、日本協会から拠出された補助金に剰余が出たが、全額使い切ったように報告し、裏金化していた。基金の存在は会長に報告されていなかった」と断じていた。

 一方で事務局側は「特別会計で計上してきたもの。不正はない」などと反論してきたが、川村会長、杉山副会長らは経営するシャンソン化粧品内で「調査チーム」を結成し、綿密に調査したという。

 杉山副会長 裏金づくりに関与したのは4人。元男子日本代表、現職の銀行員もいます。裏口座を作った上でのマネーロンダリングの手口です。補助金を目的外で使う規則違反をしていたことも分かった。すべての証拠を得ていますので、会見で開示します。

 杉山副会長によると、シャンソン化粧品も85年から今年2月まで、事務局側の「資金難」の話を信じて、計約3600万円を協会に援助してきたことから「弊社も被害者。だから調査しました」としている。

 これに対し、同協会の渡辺理事長は「私たちも当時の記録が残ってないので、こちらとしても助かります」と歓迎する意向を示した。証拠の内容を精査し、不正がなかったことをあらためて訴えていくという。

 ◆静岡県バスケットボール協会の内紛 3月に開催された代議員会後、会長側は任意団体から一般社団法人への移行手続きについて「法令上の違反があり、無効」と訴え、事務局側と対立し始めた。

 9月9日の理事会には、杉山副会長が出席。基金約5000万円の問題を指摘し、県や静岡市に返還する方針を示した会長名の宣言書を配布して退席した。一方、事務局側は10月2日に臨時代議員会を開催し、新法人の移行にあたり、川村会長と杉山副会長を役員から外す人事案を可決。渡辺理事長は「協会の公的な活動が阻害され、機能不全が続くため2人を選ばない方が良いと判断しました」と説明した。

 事務局側は同10日をめどに登記を行う予定だったが、川村会長らの申し立てにより、静岡地裁が同7日、この決議の執行停止仮処分を認めた。