2季連続で開幕戦を制した高梨沙羅(20=クラレ)が、1回目95・5メートル、2回目も最長不倒の98・0メートルを飛び、2回合計268・1点で開幕2連勝を飾った。W杯通算46勝目で「鳥人」マッチ・ニッカネン(フィンランド)に並んだ。伊藤有希(22=土屋ホーム)が2位に入り、日本勢が開幕2戦連続でダブル表彰台となった。

 まったく寄せ付けなかった。高梨はともに追い風の中、1回目に95・5メートルでトップに立つと、2回目は98・0メートルと飛距離を伸ばした。2位伊藤を距離換算で6メートル以上突き放し、余裕の2連勝。「特に1回目のジャンプが良かった。興奮している。とても幸せ」。照れ笑いしながら、会心のジャンプを振り返った。

 鳥人に並んだ。男女の差はあるが、五輪の個人金メダル4つを持つニッカネンのW杯46勝に到達。開幕前にフィンランド合宿で約30本の飛躍を重ね、冬の助走路を滑る感覚を体に染みこませてきた。今季はより力強い踏み切りを意識。「ちょっとずつ(ジャンプ台に伝える力が)上がってきている」。その手応えを結果につなげ、史上「歴代2位タイ」に立った。

 20歳シーズンを、勢い良く飛び出した。開幕2連勝は、2度目の総合優勝を果たした13~14年以来3季ぶり。2日の開幕戦は、1回目に追い風1・27メートルの中、95メートルでトップにつけ、2回目はHSまで50センチに迫る最長不倒99・5メートルで圧勝。状況を問わず、飛距離を稼ぐ天性の資質は健在だ。来年2月の世界選手権(フィンランド・ラハティ)、18年平昌五輪へ弾みをつける最高の滑り出しとなった。

 昨季は開幕戦勝利も、2戦目でイラシュコ(オーストリア)に次ぐ2位に甘んじたが、今季は違う。常に高みを目指す女王は「もっと確率を高めていかないと。反省をしっかり消化したい」と自らを戒めることも忘れない。勝ってかぶとの緒を締め、2季連続4度目の総合優勝につなげる。

 ◆マッチ・ニッカネン 1963年7月17日、フィンランド・ユバスキラ生まれ。18歳の82年に世界選手権90メートル級優勝。84年サラエボ、88年カルガリー五輪では全5種目で金メダル4、銀1個を獲得し「鳥人」と称された。W杯通算46勝。04年には酒に酔って知人男性をナイフで刺し、加重暴行罪で禁錮2年2月を言い渡されるなど「悪童」とも呼ばれた。177センチ。