<テニス:全豪オープン>◇17日◇メルボルン◇男女シングルス1回戦

 プレーバック日刊スポーツ! 過去の1月18日付紙面を振り返ります。2006年のスポーツ面(東京版)は、世界82位の錦織圭が全豪OPでの初勝利でした。

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 「エア・ケイ」が、世界の舞台で完全復活をアピールだ。世界82位の錦織圭(21=ソニー)が同58位のファビオ・フォニーニ(23=イタリア)を6-1、6-4、6-7、6-4の3時間8分で撃破。全豪初勝利を挙げるとともに、日本男子としては05年鈴木貴男以来6年ぶりの勝ち星となった。2回戦では、同36位のフロリアン・マイヤー(27)と対戦する。4大大会初出場の波形純理(28)は敗れた。

 一昨年の右肘の手術、昨年のゼロからの復帰。2年の苦闘を乗り越え、錦織が大きな1勝を手にした。「全豪の1勝は目標だった。けがから復帰して不安もあったけど、素直にうれしい」。マッチポイントでフォニーニのフォアがアウトすると、2年間の思いを両手のガッツポーズに込めた。

 スタートから完璧なテニスで、難敵を封じ込めた。フォニーニはイタリア代表で、最も期待される若手だ。しかし、錦織は「出だしが良くて、集中して全開で行こう」と圧倒した。第1ゲームで相手のサーブを破ると、わずか1ゲームしか落とさずに26分で第1セットを先取。その勢いで、第3セットこそ落としたが、格上を翻弄(ほんろう)した。

 今年を勝負の年と位置付けた。自ら「もう言い訳ができない」と覚悟を決めた。昨年までは、けがを理由に「100%じゃない感覚があった」。しかし、今年は、開幕戦のインドで「ラケットにちゃんとボールが乗っている感覚を得た」と、2年ぶりのツアー8強に進出。自分の中で好調の手応えがあるだけに、もう負けを他の理由にすることはできない。

 プレースタイルも新たな一面を見せた。これまではドロップショットやジャンピングストロークの「エア・ケイ」など、奔放なプレーが持ち味だった。しかし、この日は安定感を前面に出し、決して無理をしないプレーを披露。「経験を積み重ねていくことで、変えていく時かな」と、一段上のレベルに踏み出した。

 今年の目標の1つに、松岡修造がつくった世界46位の日本男子最高位の更新がある。今大会でベスト8に入れば、一気に松岡超えも見えてくる。「テニスも体調もすべていい。がんばりたい」。いよいよ今年こそ、新たに生まれ変わった錦織の年が幕を開ける。

※記録や表記は当時のもの