大学8連覇を果たしてサントリーに挑戦した帝京大・岩出雅之監督(58)が、複雑な胸中をのぞかせた。

 日本代表やスーパーラグビーに参戦する選手の年間試合数減少などを目的に、来季以降の日本選手権はトップリーグ(TL)決勝トーナメントを兼ねて開催。大学チームの出場枠撤廃が決定しており「決まったことに対してベストを尽くします」と切り出した。

 帝京大は近年、最終目標を日本選手権優勝としてきた。岩出監督は言う。「TLでも(上位と下位で)差がある。大学選手権が終わって、日本選手権でTLの上位とドンとやる。そこの期間で急に無理をしても、ケガにつながるんです。(仮に19年W杯以降に大学枠が復活しても)これを経験した学生はいなくなっていますから」。そのためTL上位に勝つことを想定しながら、1年を通してチーム作りを進めてきた。TL王者サントリー相手に前半を同点で折り返し「『怖がる』というのが、ここ数年なくなってきた」。1歩ずつ大目標に近づく中で直面した大会方式変更だった。

 指揮官として最も気に懸けるのがケガの防止だ。来季以降もTL勢との練習試合に意欲を見せつつ「公式戦ではラフプレーをしたときに罰則がある。練習試合ではそれがない」とマッチメークの難しさを語る。もちろん最大の目標は「学生には学生の魅力がある」というように大学選手権9連覇だ。「今年も1年の過ごし方からさまざまなことで、多くのヒントをもらった。来年はもっと強くなる」。常勝軍団は新たなチーム作りで、次の冬を目指す。