開花宣言には1歩およばなかった。秋田ノーザンハピネッツがアルバルク東京に60-78で敗れ、連勝が2で止まった。上位をのみ込む勢いだった。後半に入り、流れが変わる。19-38で追いかける第3クオーター(Q)。田口成浩主将(27)が爆発した。3点シュート2本を含む10得点。大黒柱の活躍で一気に点差を詰める。第3Q終了時には9点差と迫り、ピンク色に染まる秋田側のスタンドが大いに沸いた。

 主将のがむしゃらさが光った。第3Qには体を張って、こぼれ球へとヘッドスライディングのように飛び込む。泥臭い動きでチームを鼓舞し続けた。田口はこの試合両軍最多の19得点。第4Qに外国人選手の身長差などから得点差を広げられてしまったが、最後まで集中力を切らさなかった。

 新しい力も経験を積んだ。第2Q終盤に特別強化指定選手の保岡龍斗(江戸川大3年)がデビュー。以前から「秋田のブースターの前でプレーしたい」と熱心な応援の前での活躍を意気込んでいた。投入直後は周囲に動きを確認するなど戸惑いも見せたが、短い出場時間の中で懸命に動いた。

 A東京は21日に桜の開花宣言が出たばかり。長谷川誠ヘッドコーチ(45)は「リバウンドの数は勝っている。ミスを少なくして、しっかり守備をしたい」と収穫を口にしつつ、巻き返しを誓った。芽吹くつぼみは見えた。敵地で連敗では終われない。【島根純】