京産大(関西2位)が大逆転で2大会連続の8強に進んだ。前半22分の時点で0-24と大差をつけられ、同37分にはFWに退場者を出すなど大苦戦。それでも計8トライを奪って55-31で法大(関東リーグ戦4位)を撃破した。11大会ぶりの4強を懸けて23日の準々決勝で明大と対戦する。

 見えない力が京産大に宿った。前半22分までに0-24。反撃に出た同37分にはU-20(20歳以下)日本代表のNO8ファカイが暴力行為で一発退場になった。絶望感に襲われながら残された14人は声を合わせた。「こんなところで負けたら中川に顔向けできないやろ!」。コーチ陣からは「(FW)7人でもスクラムを押せ」とゲキが飛ぶ。14人の力が結束し、ドラマの逆転劇につながった。

 初戦の法大戦を2日後に控えた14日の練習後のこと。大西監督は涙をこらえながら言葉を振り絞った。「今までは自分のためにラグビーをしろと言い続けてきた。でも今回だけは違う。アイツのために勝ち続けるんやぞ」。関西リーグ最終節近大戦で、4年生で主将のフッカー中川が頸椎(けいつい)を損傷し現在も入院している。同監督就任45年目で大きな事故が起きるのは初めてだった。

 中学から中川と一緒に楕円(だえん)球を追ったCTB坂本は「正直、試合どころではなかった。でも勝たないと喜ばせることはできないから」と胸中を明かした。代役の3年生フッカー宮崎は2トライを挙げ「1人が2人分走ることを覚悟した」。11季ぶりの4強を懸け、23日の準々決勝は前年度に史上初めて勝った明大との再戦。悲願の日本一へ。仲間のために勝ち続ける。【益子浩一】