大会終了後、日本レスリング協会副会長で至学館大の谷岡郁子学長(64)が報道陣の取材に応じ、同大レスリング部の栄和人監督(57)の解任を発表した。

 栄監督は大会初日の14日、レスリング女子五輪4連覇の伊調馨(34=ALSOK)へのパワーハラスメント問題で謝罪会見を行った。しかし、監督としてセコンドにつくことはなく、観客席でお笑いコンビ千原兄弟の千原せいじらと談笑する姿が報道された。谷岡氏は「謝罪会見後、数日様子を見ていましたが、まだ分かっていない。反省できていない。これはダメだなと。指揮を執る人のやることではないとして、正式に解任することを決めました」と述べた。

 後任監督は「未定」としたが、同大の副学長で日本代表コーチの吉田沙保里(35)の起用について「あり得ると思う」と、可能性があることを示唆した。吉田は今大会、栄氏の「定位置」だったセコンドに初めてつき、選手に的確なアドバイスを送っていた。谷岡氏はあらためて「これからみんなで話し合って決める。本当の意味での選手ファースト、選手の主体性に基づく、さわやかなチーム作りをしたい。世界選手権、東京五輪に必ず間に合わせるようにする」と決意表明した。

 栄氏はパワハラが認定された4月に日本協会の強化本部長を辞任。同大の監督は継続し、今大会が“現場復帰”の場だった。