日本大学アメリカンフットボール部が、関西学院大の選手を悪質な反則で負傷させた問題で、日大の経営トップの田中英寿理事長(71)が、大学の公式サイトで「学生ファーストの理念に立ち返って」と題した文書を発表し5月6日の関学大戦後、初めて一連の問題に関して謝罪し、自らの見解を明らかにした。

 田中理事長は、7月30日に都内で開かれた日大アメフト部第三者委員会の会見で、DL宮川泰介選手が関学大のQB奥野耕世選手の背後から悪質なタックルを仕掛け、右膝軟骨損傷と腰の打撲で全治3週間のけがを負わせた反則行為が、内田正人前監督と井上奨前コーチの指示によるものだったと認定されたことについて言及。「第三者委員会は、アメリカンフットボール部の前監督とコーチによる反則行為の指示があったことを認定しております。誠に遺憾というだけでは、済まされない行いだったと思います」とつづった。その上で「関西学院大学アメリカンフットボール部の関係者、反則タックルによってけがをされた選手、保護者、反則するよう指示を受けた本学の選手と保護者に対し、深くお詫びをいたします。さらに、関東学生アメリカンフットボール連盟、他大学のアメリカンフットボールチーム関係者、アメリカンフットボールに関わる多くの方々に不安とご迷惑をかけたことを重く受け止め、深く謝罪をいたしたいと思います」と謝罪した。

 また問題が起こった当時の日大の理事で辞任した井ノ口忠男氏が、5月14日に宮川選手と父親を日大三軒茶屋キャンパスに呼び出し「タックルが故意に行われたものだと言えばバッシングを受けることになる」と、内田前監督の関与がなかったかのように説明することを求めた上で「(同意してくれれば)私が、大学はもちろん、一生面倒を見る。ただ、そうでなかったときには、日大が総力を挙げて、潰しにいく」と口封じを図ったと指摘した件についても言及。「報告書の中では、あるまじきことか、元理事でアメリカンフットボール部のOBによる口封じがあったことが示されています。いかなる理由があろうとも、断じて許されないことです。なぜこんな卑劣な行為があったのか、驚愕と激しい怒りがこみ上げました。二度とあってはならないことです」(コメントは原文のまま)と批判的な見解をつづった。