シニア1年目の紀平梨花(16=関大KFSC)がSPで今季世界最高点の82・51点をマークし、首位発進した。平昌五輪(ピョンチャン・オリンピック)金メダリストのザギトワ(ロシア)が77・93位で2位、坂本花織(シスメックス)が70・23点で4位、宮原知子(関大)が67・52点で6位。

勝負強さが光った。冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を含む3つのジャンプなど、すべての要素を丁寧につないで滑りきった。「リンクに立ったときは、特にGPファイナルっていう大舞台っていう意識はしなかった。自分の演技をいかに集中して完璧に滑られるようにと考え、ジャンプのイメージだけして、特に緊張することなく良い状態でできました」。リラックスした状態で力を出し切った。

現地時間午後9時からのSPは、紀平にとって新たな戦いだった。前日5日には「9時からの試合で、今までにないぐらい遅いので、その間に昼寝をするとだいぶ変わる」。この日、午前10時50分から30分間の公式練習では、トリプルアクセル(3回転半)を7本中6本成功。その後はホテルに1度戻り、夜の本番へコンディション調整に励んだ。

今季はGP第4戦NHK杯、第6戦フランス杯で優勝。その余韻に浸りすぎることなく、フランスから帰国した段階で「昼寝を必ずしようと思っている」と戦略を立てた。

脳裏によぎるのは、ジュニア2年目だった17年のジュニアGPシリーズ第7戦イタリア大会だ。フリーは午後5時45分開始とそれほど遅くなかったが「昼寝でうまく寝られなかった。足の力が抜けていて、あの時はステップで2回こけてしまった」。欧州や北米などの時差とも格闘し、多くの経験を積みながら「その時は何が原因か、考えても経験不足だった」と答えにたどり着きつつある。

だからこそ、今大会は2日に現地入りし、SP前日の公式練習前に丸2日の調整日を設けた。ホテルではバスタオルで枕の高さを調整し、これまで以上に時間の使い方にこだわった。シニア1年目を勢いよく駆け抜けながら、同時に長く結果を残す方法を追い求める。

中1日のフリーは8日(日本時間9日)に行われる。「伸びしろがあるかどうかとかをジャッジスコアとかで確認して、どこを伸ばしていきたいかを確認したいと思います」と、気を緩めず完全優勝を狙う。