2020年東京オリンピック(五輪)で東京都が、大会の顔となる巨大五輪シンボルを、台場地区と八王子市の高尾山に設置することが24日、複数の大会関係者への取材で分かった。近く都が発表する予定。巨大五輪シンボルは大会開催に合わせて街を装飾し、機運醸成を図る「シティードレッシング計画」の肝で、その大会を象徴する風景として、重要な役割となる。

台場地区に設置する巨大五輪シンボルは、お台場海浜公園とレインボーブリッジの間の海上に設置することが検討されている。かつて、テレビ映りなどの観点からレインボーブリッジにぶら下げる案も浮上していたが耐荷重や予算の問題で実現しなかった。

しかし、台場地区は東京の風景を代表する場所で、今大会、目玉となるアーバン(都市型)スポーツ会場などが集まるため、大会の顔となる五輪シンボルを設置する場所として外さなかった。

もう1つは高尾山の山頂広場に設置予定。晴れた日には富士山も望める場所で、世界に日本を発信する上で最適な場所と判断された。海と山、それぞれに設置されることとなる。

巨大五輪シンボルは「スペクタキュラー」と呼ばれるものの一種で、都が国際オリンピック委員会(IOC)と結んだ開催都市契約の中で設置が定められている。大会マスコットのモニュメントもその一種で、都庁舎前など各地域に複数設置される。

ただ巨大五輪シンボルは設置規制が厳しく、都は象徴的な2カ所に置くこととした。検討の結果、区部と多摩地域に1つずつ設置すると決め、具体的な場所を調整してきた。パラリンピック期間中はパラシンボルを同様の場所に設置予定。それよりも小規模な五輪マークは羽田、成田空港やライブサイトに置かれる予定だ。

同シンボルは象徴となり、各大会を彩ってきた。12年ロンドン五輪ではテムズ川に架かるタワーブリッジに設置され、お祭りムードを演出。重さ3トン以上で幅約25メートル、高さ約11・5メートルだった。

16年リオデジャネイロ五輪では世界的観光ビーチのコパカバーナに設置。もともとは海に浮かぶ巨大展示物を計画していたが、経済の低迷を受け、砂浜に幅6メートル、高さ3メートルのものを設置した。

東京の2カ所は、ともに景観がよく、人気の記念撮影スポットになることは間違いない。

◆五輪マーク オリンピックシンボルとも呼ばれる国際オリンピック委員会(IOC)のシンボルマーク。近代五輪の創始者ピエール・ド・クーベルタン男爵が発案し、1914年にIOC設立20周年記念式典で発表され、20年アントワープ五輪で初めて掲揚された。連結した5つの輪は欧州、南北アメリカ、アフリカ、アジア、オセアニアの5大陸の結合と連帯を表している。輪の色は左から青、黄、黒、緑、赤の5色で、白地も含めると世界のほとんどの国旗が描けるという理由で選んだ。

◆お台場 東京都港区台場、江東区青海などからなる東京臨海副都心地区。フジテレビ、お台場海浜公園、レインボーブリッジ、自由の女神像などがある。お台場海浜公園は東京五輪のトライアスロンや10キロマラソンスイミングの会場でもある。

◆高尾山 東京都八王子市にある山。標高599メートル。明治の森高尾国定公園に指定されており、植物の採取などは禁止。都心から近く、交通の便もいいため、年間を通じて海外などからも多くの観光客が訪れる。年間の登山者数は300万人を超え、富士山などを超えて、世界一と言われている。

◆スペクタキュラー 五輪やパラリンピック開催に当たり、大会の雰囲気を盛り上げるために設置される屋外大規模展示物。巨大五輪シンボル以外にも、大会マスコットをライブサイトなどに設置する。観戦客、観光客にとって、記念撮影をする絶好の場所となり、聖火台に次いで、その大会を象徴するものとなる。