バレーボール女子Vリーグ1部の久光製薬は29日、今月30日付で現役生活に終止符を打つ女子代表の新鍋理沙(29)のオンライン会見を開いた。2012年ロンドンオリンピック(五輪)銅メダルなど数々の偉業を成し遂げた29歳は、引退理由について「けがと向き合いながら、1年後に自分の納得できるプレーをするのが難しくなった」と明かした。

来夏に延期となった東京大会でも代表入りを目指していた新鍋が、惜しまれつつコートを去る。東京五輪を集大成と位置付け、大会終了後に引退を考えていた。1年延期となったことに「絶望。私にとって1年はとても長く感じました」と話す。

右手の指を4月に手術し、延期となった本大会に向けリハビリに取り組んできた。競技を続けるかどうか葛藤する中、けが前のプレーに戻れるかという不安が拭えなかった。毎年5月にある久光との面談で引退を決めた。

身長175センチとアウトサイドヒッターの中では小柄ながら、攻守の両面でチームに欠かせない存在だった。特にサーブレシーブは随一の腕前を誇り、女子代表の中田監督の信頼も厚かった。引退を決めた後、中田監督からは「お疲れさまでした」と言われたという。

引退後は久光の運営会社とマネジメント契約を結び、バレーボール界に貢献するつもりだ。「バレーボールは私の全て。すばらしさを伝えることができればいいなと思います」と第2の人生への抱負を語った。

鹿児島県霧島市出身の新鍋は、宮崎・延岡学園高卒業後、久光製薬に加入。11年に日本代表に初招集されると、翌年のロンドン五輪では当時最年少の22歳で選出され、28年ぶりのメダル獲得に貢献した。16年リオデジャネイロ大会のメンバー入りを逃したが、久光で指導した中田監督が就任すると代表復帰。東京大会でも活躍が期待されていた。

【平山連】