東京オリンピック(五輪)バスケットボール男子日本代表候補で、今シーズンのMVPに輝いた金丸晃輔(32)が、Bリーグ1部(B1)島根スサノオマジックに移籍することが6月30日、分かった。

今季までプレーしたシーホース三河からの退団が決まっており、移籍先が注目されていた。

やはり日本代表候補で、主将を務めたアルバルク東京からの退団が発表されていた安藤誓哉(28)も島根に移る。7月1日のオンラインイベントで発表される見込み。

加入先の島根は今季、奮闘したとはいえ28勝32敗で西地区10チーム中5位、B1全20チーム中11位の成績だった。Bリーグ発足後5シーズンのうち2部(B2)で2シーズンを過ごした山陰のクラブに、日の丸を背負った華やかな“デュオ”が誕生する。

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首都圏近辺の強豪クラブではなく、自然豊かな地方のクラブから頂点を目指す。年間MVPプレーヤー金丸が選んだのは、B1プレーオフ(チャンピオンシップ)の出場経験がない島根。安藤誓とともに、神々が集う出雲の国で、Bリーグに新たな“神話”を創造する。

リーグを代表するシューターとして名高い金丸は、自己最高46・6%の3点シュート成功率を記録するなど、国内出身選手トップとなる1試合平均16・8得点を今季マークし、念願のMVPを受賞した。東京五輪へ向けた日本代表の座をめぐる争いでも、持ち味の得点力を発揮してアピールを続けている。

同じく日本代表合宿に参加中の安藤誓は、司令塔のポイントガードとして活躍。名門のA東京で主将を経験しており、新チームでもリーダーとしての役割が期待される。今季は1試合平均10・3得点、3・9アシストをマークした。

以前はB1とB2を行ったり来たりの成績だった島根だが、19年より親会社がバンダイナムコエンターテインメントとなり、経営基盤が大きく安定。今回の補強につながった。2026年からの“新B1”入りを視野に、伸び盛りのクラブはさらに成長しようとしている。

テレビ番組の「印象の薄い都道府県ランキング」で1位となってしまうなど、ともすれば地味な印象も漂う島根県。しかしその地に本拠地を置くチームは今後、スター選手の活躍やアリーナでの魅力的な演出によって地域をさらに活性化させ、地元の知名度を高め、日本のスポーツ界に強烈なインパクトを刻んでいく。

◆金丸晃輔(かなまる・こうすけ) 1989年(平元)3月8日生まれ、福岡県出身。福岡大大濠高から明大へと進み、卒業後はパナソニックへ。しかしチームが休部となり、13年にアイシン(現B1三河)に移籍した。得意の外角シュートを武器に、リーグを代表するシューターとして活躍。身長192センチ。趣味は釣り。

◆安藤誓哉(あんどう・せいや) 1992年(平4)7月15日生まれ、東京都出身。宮城県・明成高から明大に進学し、在学中に海外挑戦を決意。カナダやフィリピンのチームに所属後、帰国してはリンク栃木、秋田、A東京でプレーした。身長181センチ。座右の銘は「安定なんてこの世にない」。

◆島根スサノオマジック 地元の人たちの呼びかけがきっかけとなり、県内初にして唯一のプロスポーツチームとして発足。2010年よりbjリーグに参入した。Bリーグ初年度の15年はB2でスタート。19年よりバンダイナムコエンターテインメント社が経営に参画した。ホームアリーナは松江市総合体育館。チームカラーは青。マスコットの「すさたまくん」は烏帽子(えぼし)やまが玉などを身につける。

◆B1島根の名誉ブースター 錦織圭(プロテニスプレーヤー)、和田毅(プロ野球ソフトバンク)、梨田昌孝(プロ野球元近鉄、日本ハム監督)、アニマル浜口(元プロレスラー)、佐野史郎(俳優)、錦織良成(映画監督)、里見香奈(女流棋士)ら。

◆島根とバスケ 県庁所在地の松江市内では全国に先駆けて大正時代より、小学校の授業でバスケが取り入れられた。その後もいち早くミニバスケットが普及するなど、バスケットボールが盛んな土地柄。60年代には松江工高がインターハイで2度優勝するなど、「バスケ王国」と称された。