海洋(新潟)が「団体戦優秀32校決勝トーナメント戦」の進出を決めた。団体予選2回戦の多久(佐賀)戦と同3回戦の名西(徳島)戦はともに3-2の勝利。先鋒(せんぽう)を務めた主将の長谷川凌雅(3年)が2戦とも先勝し、チームに勢いをつけた。前日6日の高千穂(宮崎、4-1)戦と合わせて予選は3戦全勝。津南中教校(新潟)も予選1勝2敗ながら進出した。

チームの切り込み隊長が決勝トーナメント進出への道を切り開いた。先鋒の長谷川が得意の突き、押しで勝利への流れを作った。多久の伊藤晃成(3年)には押し倒し。名西の相田和哉(3年)は押し出し。持ち味を土俵に放出させて連勝した。「激しい相撲が自分の相撲」と役目を果たし、チームを勝利へ突き動かした。

村山智明監督(42)は「チームに勢いをつける。きっぷのいい相撲。だから先鋒に置く」と話した。長谷川も先鋒の役割は気に入っていた。「最初の方がいい。何も考えなくてもいいから」と言った。試合中盤になれば勝敗を計算しなくてはならない。そんな煩わしさとは無縁にガムシャラな激しい相撲で勝利を狙う。「勝っても負けても、流れを作る」と自分の相撲に集中し、前日(6日)の1勝(不戦勝)を含め、先鋒として3戦全勝した。

海洋は09年から3年連続4強入りする名門。そんな同校が地元に恩返しする絶好の機会が今大会だ。「地元の人から差し入れなど、支援されている。地元開催。恩返しを意識して相撲を取りたい」と長谷川。村山監督は「1つでも勝つことが恩返し」と決勝トーナメントで上位をうかがう。【涌井幹雄】

■津南中教校は不戦勝で32強

津南中教校はラッキーな決勝トーナメント進出だった。2敗で迎えた団体予選3回戦の東洋大牛久(茨城)戦が不戦勝。5-0とポイントを稼いで、1勝2敗ながら上位32校の中に入った。個人戦予選にも出場した関真成(2年)は「全国との力の差を感じた。全国は『やっぱりすごい』と感じた」と話しながら、その視線の鋭さは勝負を捨てていなかった。